ラグビー日本代表で活躍した松田力也が今シーズン、新たな挑戦を始めた。パスで攻撃を組み立てる司令塔としてワールドカップに2大会連続で出場。今シーズンは、8年間所属した強豪チームから移籍し、新天地でのプレーを決断した。松田が加入したトヨタヴェルブリッツはこれまで1回も優勝経験がないチーム。昨シーズンまでプレーしていたのは、リーグ屈指の強豪埼玉パナソニックワイルドナイツだったこともあり、移籍の決断は簡単ではなかった。それでも移籍したのは司令塔としてもっと成長したいという強い思いがあったから。ワイルドナイツは速攻が持ち味のチーム。そのスタイルの中で松田が磨いたのがテンポが速いパス。ボールを受けると瞬時に味方にパスをする。しかし、去年のワールドカップ、司令塔としての自分のプレーに満足できなかった。テンポが速いパスを続けると相手に読まれてしまう場面が多く、チームは目標のベスト4以上に遠く及ばず1次リーグで敗退した。松田は新たなプレーの引き出しを求めて移籍後も試行錯誤を続けた。そこにヒントとなるアドバイスを送ったコーチが現れた。去年のワールドカップでオールブラックスを準優勝に導いたイアン・フォスターコーチ。フォスターコーチは状況によってあえてパスのテンポを遅らせるよう松田に伝えた。迎えたきょうの開幕戦、クボタスピアーズ船橋・東京ベイを相手に松田はパスのテンポを遅らせるプレーを随所で見せた。そして、前半20分、松田の新たな引き出しがトライにつながった。テンポを遅らせたことで味方の前にスペースができたとさらなる成長を目指して松田選手の挑戦はこれからも続いていく。クボタスピアーズ船橋・東京ベイ30-27埼玉パナソニックワイルドナイツ。