田辺誠一がやったきたのは東京・上野の国立西洋美術館。現在モネの展覧会が開催中で、パリ・マルモッタン・モネ美術館のコレクションを中心に、日本初公開の睡蓮をふくむ60点以上が集まった。睡蓮、夕暮れの効果は1897年にモネが初めて描いた睡蓮の一つと推定される一枚池に浮かぶ睡蓮の花や葉、それらをクローズアップしている。緑の葉や、白い花の上には陽の光を感じさせるうっすらと赤みをおびた色がのせられている。その6年後に、画面の半分をしめるのは、池の水面。睡蓮の花は、木々の奥においやられ、水の色の中に溶け込んでいる。モネの視点が変化している。絵の主役はもはや、睡蓮ではなく水面にうつる世界。最も印象を与えるのは池のほとりに茂る柳と抜けるような青空。モネの変化を研究員は主役や池の水面とそこに映る反映が主役になっているという。86歳で亡くなるまでに、睡蓮を描き続けたモネは、描く度に、絵の視点はドンドン変化していった。