今週、世界各国の台風研究者約200人が横浜に集まった。最新の研究成果の中には、AI(人工知能)の活用も。今AIを用いた台風の進路予測の精度が飛躍的に向上し、注目を集めている。今月発生した台風22号の進路予測では、気象庁の予測よりもAIの予測の方が実際の進路に近かった。また気象庁の予報は5日先までだが、AIは最大15日先まで予測できるという。気象庁が使っている従来の予測方法は、気温や気圧などの数値予報のデータなどを使用しスーパーコンピューターを使って進路をシミュレーションしている。一方でAIは、過去の台風の進路や強さなどの情報を大量に読み込ませて予測している。昨今AI技術が急速に進化したことによって、従来の予測より精度が上回ってきた。韓国の気象庁では、1年前からAIの予測をテスト運用しているという。AIを使った台風予測を研究している気象庁気象研究所の山口宗彦主任研究官は、ヨーロッパ中期予報センターに注目しているという。独自のAI気象モデルを2月に実用化し、各国に情報提供している。そのウェブサイトでは、エヌビディアやマイクロソフトなど世界の巨大企業が開発するAIの予測を誰でも見ることができる。AIの精度の高さは研究でも明らかになっており、台風の進路予測誤差では従来のモデルよりもAI気象モデルの方が誤差が少なくなっている。グーグルAI開発部門のリサーチサイエンティストのフェラン・アレットは「最新モデルは新しいAI技術の導入で数十・数百通りの未来が高速に予測できる」などと語った。気象庁は現在AIによる気象モデルの導入をしていないが、「今後は業務全般にAIを活用し防災気象情報の高精度化につなげたい」としている。将来的には独自の「AI気象モデル」を開発したいという。横浜国立大学の筆保弘徳教授は「台風情報の形式は40年くらいほとんど変わっていない。日本は台風発生の24時間前になってから発表していたが、もっと前から情報があれば助かる」などとコメントした。一方でAI導入には課題もある。台風の強さの予測については、海外の研究でも“精度に課題がある”とされている。また気象庁はデータの根拠をもとに説明することができるが、AIの予測は大きく外れた場合でもなぜこのような結果になったのか明確に説明できない場合がある。専門家は「従来の手法とAIの手法を組み合わせることで、さらに正確な予報が出ればその方がよい。どう共存できるのかアプローチも必要」などとしている。
