いま狂犬病ワクチンの接種率が低下している。先日群馬県・伊勢崎市で小学生を含む12人が犬に噛まれて負傷した事件があった。その犬が狂犬病の予防接種を受けていなかったことが分かった。そもそも狂犬病とは犬だけでなくすべての哺乳類が感染する可能性がある。噛まれたり引っかかれるなど傷口から感染するもので、ヒト・ヒト感染はない。主な症状は発熱・頭痛・おう吐・幻覚など。こうした症状が発症すると昏睡状態・呼吸不全でほぼ100%亡くなる。海外だと主にアジアやアフリカで毎年約5万人以上の死者が出ている。日本では1957年以降発生はない。1950年に狂犬病予防法が施行され、犬の登録や予防接種の義務化、野犬を抑留することでわずか7年で狂犬病を撲滅した。狂犬病の清浄国・地域は日本を含めいまのところ7カ国。日本でも国内での発生はないが、1970年、2006年、2020年にはネパールやフィリピンに旅行していたり滞在していた方が帰国してから発症して死亡するケースも出ている。1989年にはワクチン接種率が99.2%で推移していたが1990年頃から低下し70.9%にまで低下している。WHOが提示しているまん延を防ぐ目安の70%に迫ってきている。飼い主には法律で義務付けられており、20万円以下の罰金の対象になっている。多くの場所で居住している市区町村で集団注射を行ったり動物病院でも接種することができる。藤野先生は接種率低下の理由について「日本のなかで狂犬病が1957年以降発生していないところが一番の理由だと思っている。私達も日本国内で実際の狂犬病の犬を見たことがないので分かっていない、意識が下がってきていることが原因だと思う。」などと話した。狂犬病については「ウイルス。ワクチンによって致死率をほぼなくすことができる。」、ワクチン代については「犬の場合は3000円前後、年に1回打つ」などと説明した。もし狂犬病流行地域でかまれたら傷口は15分以内に直ちに徹底して石鹸と水で洗い、できるだけ早く医療機関でワクチンを接種する。藤野先生は「ヒト用の狂犬病のワクチンを在庫として持っている病院は町医者では無いと思うので、心配だったら大きな病院に問い合わせることが必要。」と話した。