戦後80年の今、語られた貴重な証言。8月15日に終戦を迎えた日本。しかしその後に戦闘が始まった島がある。千島列島の最北部にあるシュムシュ島。終戦の日から3日後、日ソ中立条約を破棄したソビエト軍がこの島に侵攻した。公的な資料が少なく戦後80年経っても戦いの詳細はわかっていない。そんな中、この戦いの生存者である103歳の男性に話を聞くことができた。22歳で陸軍に入隊した。シュムシュ島でアメリカ軍の攻撃に備え、陣地の設営などを行っている時に終戦を迎えた。しかし事態は一変した。8月18日未明、島の北部にソビエト軍8800人が突然上陸、攻撃を始めた。島の東側にいた男性は上陸の一報を聞き、機関銃部隊11人を率いて歩いて戦いの最前線へと向かった。約3時間かけてたどり着いた男性は、ぼろぼろになった日本軍の姿を目撃した。8月21日、日ソは停戦に合意し、戦闘は終了。終戦後のこの戦いで、双方で2000人近い犠牲があったとされている。当時、ソビエトのスターリンは留萌と釧路を結んだ線の北半分の占領を要求していた。専門家は、その計画をくじくことに繋がったと指摘している。一方で終戦後、シュムシュ島の日本軍が抵抗しなければ犠牲は出なかったのではないかと指摘する専門家もいる。終戦直後の混沌とした状況の中で突如、戦闘に巻き込まれた男性。80年前のあの戦争は何だったのか。男性は「戦争っていうのはばかばかしい」と語った。
