- 出演者
- 辻浩平 藤重博貴 酒井美帆
世界情勢の不安定化に伴い需要が高まる金。政府の許可を得ない小規模は違法採掘は世界中で問題となっている。
- キーワード
- M&C リファイナリーガーナ
オープニング映像。
アフリカの人口は2050年には約25億に増え、世界の人口の4分の1にのぼると予想されている。アフリカ諸国の数は54か国と国連加盟国の4分の1近くを占め国際社会での発言力も強まっている。きょうのテーマは金。ロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢の不安定化に伴い金の需要は高まり、価格は3年間で1.9倍に高騰した。価格高騰を受け世界有数の金の産地があるアフリカで今、異変が起きている。アフリカ最大の金の産出国、ガーナにいる辻キャスターがアクラにある金細工の工房から伝える。金は削り粉の一粒一粒もこぼさないように大切にしている。3年前は6万5千円ほどだったネックレスも今は40%値上がりして9万円あまりになっている。金の価格推移(田中貴金属)をみると10年で3倍近くに上っている。記録的生産量の背景にあるのが違法採掘の急増。今回、違法採掘の現場を特別に取材した。違法採掘をしている若者の部屋を見せてもらう。1人あたり週3,000円ほどの報酬を得ているという。違法採掘がガーナ全土に広がった結果、地元の産業(カカオの栽培)が大きな打撃を受けていた。カカオ農園が次々と違法採掘場に姿を変えているという。ガーナの金の生産量の約4割が小規模採掘でそのほとんどは違法採掘とされている。カカオ栽培の農地を売却した農家は「見渡すかぎりの土地を売った。家族で所有していた土地で売った金を皆で分けようとした。それほど高くは売れなかった」などと述べた。ガーナ・カカオ委員会のジェローム・サム局長は「すべてのカカオ農園には金が埋まっている可能性がある」、「金は1度採掘すれば終わりで栽培で増やせないが、カカオならそれができる。カカオには大量の外貨をもたらす潜在力がある」などと述べた。
ガーナ・アクラから辻キャスターが報告する。金の売買をやっている業者に話を聞くと、違法採掘で出てきた金とそうでない場所で出てきた金の出どころを見極めるのは非常に難しいという。金の価格の高等が続く限り、違法採掘に歯止めをかけるのは難しい。違法採掘はガーナだけの問題ではない。世界銀行のまとめによると80か国で鉱物の小規模な採掘が行われその80から90%が違法な採掘だという。
森林を伐採して行われる金の違法採掘は環境に大きな負荷をかけている。金を採取する過程では大量の濁った水がそのまま川に排出される。ガーナ水資源委員会の報告ではガーナの淡水資源の60%が汚染され、2030年には水を輸入する国になる可能性が指摘されている。さらに深刻な環境破壊も。土に含まれた金を抽出するのに水銀を使用しているという。取材中に地元住民と採掘者が揉める場面もあった。川の水を飲んでいる住民が補償を求めてきたという。採掘者は「悪いと思うがやるしかない」などと述べた。川の上流に違法採掘場があるンサワム村の住民の男性は「違法採掘ですべてが汚染されてしまった」などと述べた。8年ほど前から川が濁り始め、魚が死ぬなどの影響が出始めている。農家は「川が汚染されてから私の人生はうまくいかない」などと話した。川の水が使えなくなったことで村の外で水を購入しているという。
ガーナ・アクラから辻キャスターが報告する。ウクライナやガザ地区で続く紛争は世界を不安定化させている。安全資産とよばれる金の需要が高まり、違法採掘の拡大を後押ししている。日本国内のチョコレート価格は大きく値上がりしている。日本のカカオ輸入の75%がガーナ産だったが、ガーナのカカオ生産は4年で半減している。半減の理由の一つが、違法採掘に寄ってカカオ農園が破壊されていること。気候変動による間伐が追い打ちをかけている。貧富の格差が進むことで多くの若者を違法採掘へと向かわせてしまっている。日本はTICADを開催していて、今年は今週水曜日から横浜で行われる。日本の先端技術を活用し課題解決の取り組みについて議論される見通し。
ガーナの企業では、2年半前から日本の研究者などの支援を受け水銀などの有害物質を取り除く薬剤の生産準備を進めている。ガーナの汚染された川の水を使い薬剤の効果を見せてもらう。金沢大学・太田富久名誉教授は工場排水を浄化する技術を活用し薬剤を現地で安く生産できるよう協力している。太田名誉教授は「ガーナの問題ではあるが“地球が汚染されている”ということを見過ごすわけにはいかないと私は思う」などと述べた。
日本をアフリカを支援する意義は食料、エネルギーと言った面で私達の日本の未来を守ることに繋がると分かった。銅を巡る争奪戦についてザンビアの現場から伝える。
番組では視聴者の声を募集している。
香港の双子パンダの1歳記念切手の紹介。郵便局では消印も用意しているという。
ダーウィンの航海が再現された。フィジーから南アフリカ、ブラジルと約200年前の航路で、当時の船を再現した。目的は将来の環境保護活動を担う人材の育成。海洋プラスチックごみの影響や生態の現状を分析した。帆船はいまイギリスで一休み中。
アメリカ・ニューヨークで飼われている犬・ダッシュ。リモートで仕事中の飼い主におもちゃをパス。おもちゃを投げて遊んでいる。
アフガニスタンでタリバンが実権を握って4年。女性の教育、就労が制限されていて、国際社会の批判を受けながらも今も続いている。深刻な課題は女性をみる、女性の医療従事者不足。隣国のパキスタンが支援。タリバン暫定政権・ハニフ経済相にインタビューする。ハニフ氏は「去年はGDP2.7%増加。近隣諸国との貿易などで大規模経済プロジェクトも進んでいる」と話した。タリバンは独自に解釈したイスラム法に基づく統治を掲げ、女性の権利制限を続けている。女性は小学校までしか通えず、遠出は男性家族が同行。移動の自由を制限。去年12月例外的に認められていた女性の医療系教育機関への通学が禁止。アフガニスタンでは伝統的に女性患者は女性医師が見るのが慣例。タリバンはイスラム法に基づくもので問題はないと主張している。女性患者のオンライン診察が始まった。診察はパキスタンから女性医師が行う。脈や血圧などはリアルタイムで共有される。診察は無料。20州の診察所で女性医師が少ない地域を支援している。パキスタン・カラチを取材する。医師・サミーラ・エティシャムさんがオンライン診察をしている。医師免許取得も結婚後20年子育てに専念。オンラインなら家事と両立できると始めた。1日10~15人診察する。パキスタンで医学部卒の女性の約30%が結婚後医療現場から離れる現場がある。地元の医科大学とオンライン診療を提供する団体は共同で1500人の女性医師を研修。アフガニスタンのほか、中東で診察している。これまでに心臓の専門医がいない地方で重篤な患者を早期発見したケースも有る。オンライン診療を提供する団体・アブドゥラ・ブット代表は「アフガニスタンの女性は女性医師に心を開きやすい」、ダウ健康科学大学・アシマ・ファイサル教授は「女性医師に復帰してもらう事が必要」と話した。
女性の医師不足解消全てを埋めることは難しい。パキスタンの団体はオンライン診療に加え、アフガニスタンの女性医師のオンライン教育を進めている。移動の制限のため他の医師と意見交換することが難しい医師の知識を向上させ、女性が受けられる医療の質を高める意味でも効果は大きい。タリバンも歓迎している。ロシアは初めてタリバン暫定政権を正式に承認。中国・パキスタン・中央アジアの国々でインフラ整備など経済協力で次々合意。アメリカシンクタンク・クインシー研究所・エルダー・マメドフ非常勤研究員は「タリバンはおそらく長期にわたり統治を続ける。現実的には彼らに関与していくしかない」という。日本もケシ栽培の撲滅などで支援を強化している。
ミャンマーでは2021年軍がクーデターを起こし、アウン・サン・スー・チー氏を拘束し、実験を握ったが国境地帯などで民主は勢力側との間で激しい戦闘が続いている。きょうミャンマーの選挙管理委員会は民政移管に向けた総選挙を12月28日から実施すると発表した。ミン・アウン・フライン司令官がことし12月から来年1月にかけて総選挙を実施したい考えを示し、先月末クーデターに伴って発令していた非常事態宣言を解除した。NHKの取材に対し、民主派勢力側の関係者は軍が実施を目指す総選挙について選挙の正当性は認められず違法で不正だと強く反発していて、選挙が実現するか不透明な情勢。
今月15日夜フィリピン・マニラで日本人男性2人がタクシーを降りた直後近づいてきた人物に拳銃で撃たれて死亡した。拳銃を撃った人物は被害者の所持品を奪いバイクで逃走。地元警察が行方を捜査している。警察はきょう事件に関与した疑いで2人の身柄を拘束、2人の関係や動機など調べを進めている。マニラでは去年10月以降日本人が拳銃を使った強盗被害に遭う事件は今回も含め21件発生。日本大使館は現地に住む日本人・観光客に対し夜間の徒歩での外出を控える要注意を呼びかけている。
アメリカ軍と韓国軍はきょうから定例の合同軍事演習を開始。李在明政権発足から初めての合同軍事演習で北朝鮮は強く反発していている。
ドイツ・ワーデフール外相はアメリカ・トランプ大統領の側近ウィットコフ特使がウクライナにNATOと似たような形で安全の保証を提供する用意があると発言したことを巡り、「非常に良いサイン。永続的な平和的解決の窓を開くかも知れない。しかし詳細が不明。この問題がワシントンで提起される核心的な議題となるだろう」と話した。18日の会談は安全保障などを巡るトランプ大統領の真意を確認する場となるとの見通しを示した。トランプ大統領は“停戦の合意ではなく和平合意を目指すべき”という考えを示していることについては、ワーデフール外相は“よい目標でわれわれも当然支持するが複雑な目標でもある”として慎重な姿勢を示し、即時停戦の実現を優先すべきだという立場を改めて示した。
皆さんの声を募集中。
明日の予告。明日は「博物館を建設ロシアの思惑は」を伝える。