三井住友信託銀行・山下さんはきょうのドル円予想レンジを144.60~145.60円とし、「アメリカの第2四半期のGDP改定値で個人消費を始めとした経済の底堅さが確認されたことを背景に金利が上昇し、対円・対ユーロを中心に為替は小幅にドル高が進んだ。本日はPCEの発表を控えるが、足元でFRBの焦点がインフレ→雇用の減速に移っており、夏休みシーズンで市場参加者も少ない状況のため、来週の雇用統計などの指標を前に様子見姿勢が強くなる展開を予想する」と話した。注目ポイントにはジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言「The time has come」を挙げ、「過去のFRBの利下げ局面における利下げ当日を0とした時の前後120営業日を対象としたドルインデックス・ユーロドルの平均変化率を示したグラフを見てみると、ドル円は明確な傾向が見られないためグラフは表示していないが、ドルインデックスとユーロドルでは利下げ開始の約1カ月前から利下げ当日にかけドル安が進む傾向があることがわかる。利下げ開始前にドル安が進む背景としてはFRBと市場とのコミュニケーションの中で利下げ開始のコンセンサスが形成され、事前に米金利低下・ドル安など利下げに備えた市場織り込みが進み、実際に利下げが行われると事実を確認後、一部ポジション改正が行われやすいためと考えている。今年に入ってからのドルインデックス・ユーロドルの推移を見てみると、先日パウエル議長がジャクソンホール会議で『政策調整の時が来た』と発言したことで9月FOMCでの利下げの確度が高まり、今月すでに4%弱のドル安が進んでいる。これは先程示した過去の利下げ局面と比較しても相当大きな動きとなっていることに加え、すでにジャクソンホール会議に向け先んじて市場織り込みが進んだとも解釈することができる。9月FOMCまでまだ少し時間があるが、先んじて進んだドル安に巻き戻しの動きが起こる可能性があると考えている」と話した。