近年のノーベル経済学賞について。2023年受賞のハーバード大学・ゴールディン教授らは、男女の賃金格差の要因などを解明し「男女間の公平性をもたらすには柔軟な労働が重要だ」としている。この研究なども参考に一部の企業ではリモートワークや休憩時間の柔軟な取得制度を導入し、女性の平均年収が上がるといった事例も出ている。去年受賞したマサチューセッツ工科大学・アセモグル教授らは、社会制度が国家の繁栄に与える影響を分析し「法の支配が不十分で国民を搾取する制度を持つ国では成長を生まない」と指摘している。国の数でいうと民主主義国家が少数派となった現在に警鐘を鳴らすメッセージとも捉えられていて、実社会と経済学の理論が関連していることがわかる。アセモグル教授は受賞後のテレビ東京のインタビューで、社会構造を研究する立場として日本の失われた30年の要因を分析し「日本の輸出企業は競争力があるが、国内経済向けに生産を行う企業は競争力がない。つまり非貿易財部門では生産性の伸びが非常に低迷している。それは政策の問題でもあり、政治的な理由から国内経済のための競争を十分に支援してこなかった」などと語った。アセモグル教授は2021年に当時官房長官だった加藤勝信現財務大臣と会談し、助言をしている。ノーベル経済学賞の日本人の候補者として有力視されているプリンストン大学の清滝教授は、バブル崩壊の構造を説明した研究が評価されている。
