フランスでは議会下院選挙の決選投票が行われている。決選投票は577の選挙区のうち、1回目の投票で当選者が決まらなかった501か所で行われている。マクロン大統領の与党連合と左派の連合は、1回目の得票率で首位だった極右国民連合に対抗するため、200以上の選挙区で候補者の一本化に踏み切った。その1つ、西部サルト県の選挙区。1回目の投票で3位だった与党連合の候補者が撤退し、左派連合のルブシェ氏と国民連合のルペン前党首の姉の2人の争い。ただ、与党連合の支持者の中には拒否感をあらわにする人も。与党連合と左派連合は、政策面で隔たりが大きい。投票を棄権するケースも出てくると専門家は予想する。最新の議席予測では、国民連合が連携する勢力と合わせて175から205議席、左派連合が145から175議席、与党連合が118から148議席。左派連合と与党連合は1週間前の予測よりも伸ばす見通しだが、国民連合が初めて第1党になる勢い。立て役者は国民連合の若き党首・ジョルダンバルデラ氏。SNSを駆使し、TikTokのフォロワーは190万人を超え、極右のスターとも称されるバルデラ氏。国民連合は移民排斥など強硬な主張を掲げた政党が前身で、穏健派路線を進める中で党の顔のマリーヌルペン氏から党首を引き継いだ。選挙で過半数を握れば首相になる意欲を見せているが、本人に強い政治的な主張はないとジャーナリストのフォール氏は指摘する。地元紙は、現時点でも国民連合と連携する勢力が過半数を獲得する可能性も排除はできないとしている。この場合、バルデラ党首が首相に就任する見通しだが、大統領の出身政党と首相の政党が異なるねじれの状態となる。一方で、仮に国民連合の過半数を阻止したとしても、マクロン大統領の与党連合と急進左派の政党を含む左派の連合が連立内閣を立ち上げるのは難しいと見られている。マクロン大統領にとっては、いずれにしても厳しい政権運営を強いられることになる。選挙は日本時間のあすにも大勢が判明する見通しだが、選挙後、ヨーロッパを主導するフランスで内政の混乱が続くのは避けられないという見方が強まっている。