ワシントンから中継。マーケットへの影響が極めて大きいテーマなので日米共に慎重に交渉しようという姿勢が随所に感じられた。ベッセント財務長官は会談前日、日本との交渉で特定の通貨目標はないという考えを示し、市場に安心感をもたらした。背景にはトリプル安に見舞われて以降、金融市場に警戒感を強めたとみられる。市場に翻弄されないよう交渉を進めなければいけない徹底ぶりが印象的。また会談そのものも時間・場所ともに急きょ変更され報道陣には一切、知らされなかった。こうしたことも慎重さを現す行動だったかもしれない。ある日本政府関係者は「アメリカ側の考えは理解できた。今後の交渉の土台はできた」と受け止めた。今後も日本としては為替についてのアメリカ側の認識・本音を見極め続けていくことになる。一方、ベッセント財務長官は政権内で発言力を強めているが、この先もベッセント路線で日米交渉が進むかトランプ大統領が強硬に円安ドル高の是正を要求してくるか日本政府にとっても気がかりなテーマ。そうした意味でも為替問題はまだまだ楽観できずトランプ政権の政策はもちろん、政権内の力学にも左右される状況が続きそう。