スウェーデン王立科学アカデミーは、今年のノーベル経済学賞を米国マサチューセッツ工科大学のダロン・アセモグル教授、サイモン・ジョンソン教授、シカゴ大学のジェームズ・ロビンソン教授に授与すると発表。社会制度が国家の繁栄に与える影響を分析した研究が評価された。受賞した3人は、ヨーロッパ諸国の植民地政策を分析し、導入される社会制度によって、経済の発展が左右されることを実証した。研究では法の支配が不十分で、国民を搾取する制度を持つ国では成長を生まないと指摘。アセモグル教授は受賞後の会見で「中国に代表される権威主義的な国家が長期的で持続可能な成長を達成するには問題がある」と強調し、同時に世界で民主主義への信頼が失われている現状にも触れ警鐘を鳴らした。アセモグル教授は「AI(人工知能)が生産性を大きくは高めない」とする論文でも注目を集めていて、AIがもたらす変化について今回の受賞が更なる議論の契機となることに期待を寄せた。アセモグル教授は「研究はAIや他の課題とも関連している。混乱の時代に鍵となるのは社会制度の強さだ」と述べた。