上場企業の株主総会が今日、ピークを迎えた。企業に積極的に経営改革を促すアクティビストなどからの株主提案が増える中、注目されていたのが製紙会社・北越コーポレーションの株主総会だ。議決権ベースで20%以上の株式を保有する香港の投資ファンドが社長の解任を求める株主提案を行った。岸本晢夫社長が16年にわたって社長を続けている会社のガバナンス(企業統治)に問題があるなどとしていた。北越は、岸本社長が就任している期間に売り上げ、営業利益率などの成長は競合他社の平均を上回る水準となっているなどと反論していた。投資ファンド側についたのが別の大株主・大王海運だ。創業家も絡んだ長年にわたる確執が背景にあった。きっかけは2011年に大王製紙の創業者の孫の元会長がグループ企業の金を海外のカジノで使った特別背任事件だ。事件を受けて大王製紙の創業家はおよそ20%の株式を今の北越コーポレーションに売却。北越が大王製紙の筆頭株主になった。大王製紙の創業者の三男・井川俊高氏は実質的なオーナーとなっている大王海運を通じて北越の株式の取得を進めて大株主となった。お互いが大株主としてけん制する関係が続いてきた。確執が解消されない中、きょうの株主総会で大王海運は岸本社長の解任に賛同。株主提案への賛成はおよそ4割に上ったとみられるが、採決の結果、解任案は反対が過半数となり、否決された。今月、株主総会を開く上場企業のうち、アクティビストなどからの株主提案を受けたのは91社と過去最多となっている。