シリアでは先月、半世紀以上続いた独裁的なアサド政権が崩壊し、反政府勢力を主導した「シリア解放機構」が率いる暫定政権が新たな国づくりを進めている。こうした中、国営通信は29日、「シリア解放機構・アハマドシャラア指導者が移行期間の大統領に就任した」と伝えた。さらに国営通信は「シャラア指導者に新たな憲法ができるまでの間、暫定的な立法機関を立ち上げる権限が与えられた」とした他、「長年、アサド家の独裁を支えた政党の解散」なども伝えた。シリアでは長年の内戦で疲弊した経済の立て直しが大きな課題となっていて、暫定政権側は欧米などがアサド政権に科してきた経済制裁の解除などを繰り返し求めている。これまで、シャラア指導者は暫定政権の実質的なトップとして外国からの訪問団などの対応をしてきたが、暫定政権としてはシャラア指導者にさらに権力を集させることで、新たな国づくりを加速させたいねらいもあるものとみられる。一方で、移行期間については具体的な期間が示されないなど、国の安定化に向けては今後、曲折も予想される。