9日、記者団の前に姿を見せたトランプ大統領。発動したばかりの相互関税について、報復措置を取らず、協議を要請してきている国などに対しては90日間停止すると発表した。9日のニューヨーク証券取引所のダウ平均株価は過去最大の上昇幅となった。日経平均株価は終値で昨日より2900円近く値上がりして過去2番目の上昇幅となった。旭化成・工藤社長は「猶予期間みたいなものができ一息つけると安心した。厳しい交渉になると思うが、日本の立ち位置を米政府に理解してもらえるようお願いしたい」と話した。相互関税を巡って動揺する金融市場。中でも債券市場については市場関係者が”異常な動きで金融危機につながるような兆候が出ていた”と指摘している。こうした中で動いたとされるのが債券市場の”プロ中のプロ”と言われるベッセント財務長官。米有力紙は、ベッセント財務長官が”市場の痛みは「短期的」”と強調するトランプ大統領に対し、”市場の観点では何か月も続く可能性”と述べたと関係者の話を基に報じている。今回の決定にトランプ大統領はベッセント財務やラトニック商務長官などと検討を進めたことを明らかにしている。一方で停止の対象にならなかったのが中国。追加関税を125%に引き上げると発表した。トランプ政権1期目に商務長官を務めたウィルバー・ロス氏は”中国への圧力を強化し譲歩を引き出す狙い”との見方を示した。ただ、トランプ大統領は”中国との間でも交渉の余地はある”との考えを示している。一方の中国政府は日本時間の今日午後1時過ぎにアメリカからの輸入品に84%の追加関税を課す措置を発動し米中の対立が深まっている。今後の対応についてベッセント財務長官は”75か国以上が交渉のテーブルについた”とした上で「日本が列の先頭にいる。彼らは交渉チームを派遣する予定だ。様子を見よう」と話した。日本政府は引き続き課されている10%の相互関税や自動車や鉄工などの25%の関税の見直しを求めていく方針。政府関係者によると、交渉を担当する赤澤経済再生相が来週にも訪米し、ベッセント財務長官と会談する方向で調整に入った。できるだけ早く具体的な協議を進めるための環境を整える狙いがあるものとみられる。