2025年10月15日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 イラン − 戦争と制裁で広がる閉塞感

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像とキャスターの挨拶。

ニュースラインナップ

今日のニュースのラインナップを紹介。

(ニュース)
ガザ地区めぐる合意 人質20人解放も停戦予断許さず

13日、解放された人質と再開を分かち合うイスラエルの家族たち。アメリカのトランプ大統領が示した和平計画の合意に基づく停戦を受け、ハマスは人質48人のうち生存している20人を解放した。これを受けてイスラエル当局も合意にそって、国内の刑務所などに収容されていたパレスチナ人約2,000人を釈放したと発表。ハマスは声明で“自由と解放を求める われわれの闘いにおける輝かしい大きな節目だ”と歓迎した。またガザ地区への人道支援について、国連は12日時点で“19万トンの支援物資の搬入がイスラエル側に承認された”と明らかにした。一方、合意では13日正午までに人質全員を引き渡すことになっていたが死亡した人質についてハマス側からの返還がほとんど進んでおらずイスラエルからは“合意違反”だとの指摘も出ている。

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ドナルド・ジョン・トランプハマースハンユニス(パレスチナ)国際連合
和平協議する首脳会議の一方で… ガザ停戦順守 予断許さず

こうした中13日、エジプトのシャルムエルシェイクで開かれたガザ地区の和平競技する首脳会議。アメリカのトランプ大統領のほか、20以上の国の指導者が参加した。トランプ大統領は和平をめぐる文書について、20項目の和平計画について“停戦は維持される”との見通しを示した。しかしパレスチナの複数メディアによると14日“イスラエル軍の攻撃によりガザ地区 北部と南部で6人が死亡”だという。ハマス側は声明で「合意違反だ」と反発し、仲介国に対しイスラエル軍の監視を強く求めた。またイスラエル軍は14日、ガザ地区北部で“複数の人物が軍の駐留エリアに近づき停止求めたが従わなかったため発泡した”などと発表していて停戦が遵守されるのかどうか油断を許さない情勢である。

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人質20人解放 “和平計画 第2段階へ”

イスラエル テルアビブの広場から中継。きのうは人質の解放を喜ぶ多くの人たちで溢れかえっていたという。きょうは一転して静かだが、今も市民が切り目なく訪れているとのこと。この広場では毎週土曜日に人質の解放を求める人たちが集会を開いてきていて、あちこちに人質となった人たちの写真があった。ハートマークがついた方々は亡くなった方も含めてこれまでに解放された方々だという。

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テルアビブ(イスラエル)
辻’s Angle
和平計画 当面のポイント(1)残る人質の解放

和平計画で当面のポイントは「残る人質の解放」「ハマスの武装解除」「イスラエル軍の撤退」だという。「残る人質の解放」については今回生存している20人全員が解放されたが、亡くなった人質28人のうち遺体が戻ったのは4人のみとなっている。合意では「生存者と遺体を含むすべての人質 返還」とあったためイスラエル側は反発しており、カッツ国防相は“どんな遅れも重大な違反とみなされしかるべき対応が取られることとなる”と投稿している。一部遺体が戻ってこないことについてハマス側は“がれきの下に埋まっている”などと説明しているという。イスラエル側が第2段階の合意に応じない可能性については現時点では不透明であり、ネタニヤフ首相自身も当面は自ら合意した内容を守る姿勢を保つものとみられている。

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和平計画 当面のポイント(2)ハマスの武装解除

2つ目のポイントは「ハマスの武装解除」でハマスは武装解除に応じる姿勢を見せていないという。ここでエジプトのシャルムエルシェイクから中継。ハマスは即時の武装解除に応じる姿勢は崩しておらず、先週取材したハマスの幹部は唯一の交渉カードといえる人質全員の解放という判断は難しいものだったとした上でイスラエルが戦闘を再開しないという保証をアメリカから得たことが決め手になったと明らかにした。ただ武器はイスラエルによる占領が続く限り必要だと改めて正当化した。こうした中アラブメディアの一部では、仲介国や周辺国がガザ地区の再型や治安維持を担う代わりにハマスが段階的に武装解除を進めるという案が検討されると伝えられている。ただハマスに武装解除を受け入れされるためには、パレスチナ国家の樹立といった長年先送りされてきた課題に国際社会を含めて向き合う必要があり協議は今後も難航することが予想される。

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和平計画 当面のポイント(3)イスラエル軍の撤退

今後のポイントの最後は「イスラエル軍の撤退」でイスラエル軍の撤退計画を示した図を出していった。ハマスの武装解除が進まなければイスラエル軍は撤退する可能性が低くなり、各国による国際部隊の展開も困難になってパレスチナの委員会によるガザ統治も実現不可能になるとみられている。ここでエルサレムから中継。トランプ政権は各国の首脳を集めて署名式などを通じて大々的な演出を行っており、この狙いは自分たちの成果をアピールしたいとのことがあるという。もう1つは国際社会での和平の流れや雰囲気を壊さないようにイスラエル・ハマス双方に対して圧力をかけ続けるという狙いもある。トランプ大統領自身はきのう「戦争は終わった」と繰り返していた。ただ和平の実現に向けてはここからが正念場となる。トランプ政権の高官は今回、仲介が実を結んだ背景として和平計画を第一段階と第二段階に分けたことにあると話している。裏を返せば早期の合意という目の前の成果を優先して交渉の難しい部分は第二段階に先送りしたともいえる。またイスラエル・ハマス双方との交渉にあたったアメリカ政府の元高官は「トランプ大統領がガザ情勢にどれだけ関心を持ち続けるかはわからないが自分の政治的な目標を達成したら関心を失うおそれもある」と懸念を話していたという。

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(ニュース)
皆さんの声 募集中

トランプ大統領はきのう行った演説で、ガザの次はウクライナ情勢で平和をもたらすと宣言した。番組では視聴者の声を募集中。

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ドナルド・ジョン・トランプ
ダウ平均株価 米中貿易摩擦 懸念後退で値上がり

中国がレアアース関連の輸出規制を強化するとアメリカが対抗措置を取る意向を示すなど貿易摩擦の再燃への懸念が強まっていたアメリカと中国。ベッセント財務長官は実務者レベルでの協議を行うと明らかにしたことなどから、懸念はひとまず後退。ニューヨーク株式市場では買い注文が広がった。

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スコット・ベッセントダウ・ジョーンズ工業株価平均ドナルド・ジョン・トランプ
SPOT LIGHT INTERNATIONAL
イラン 「軍事衝突」「制裁再発動」で広がる閉塞感

今年6月、イスラエルは核の脅威を取り除くためと主張しイランに先制攻撃し、イランも反撃した。攻撃の応酬が続く中、アメリカもイスラエルを支援しイランの各施設を空爆。12日間戦争と呼ばれたこの衝突は、アメリカの仲介で停戦に合意したが、イラン側では軍事や市民など合わせて1600人余が死亡したとされている。軍事衝突後、イランとアメリカの核協議は中断されている。そして、先月28日イランに対する国連の制裁が再び発動。核開発の他、武器の取引なども制限されることになった。イスラエルがイランを先制攻撃してから昨日で4か月となった。

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Maxarイスファハン(イラン)イスラエルテヘラン(イラン)ミズーリ州(アメリカ)

前月下旬のテヘラン中心部の市場では、多くの買い物客で賑わい野菜などの商品が所狭しと並んでいた。イスラエルとイランの軍事衝突から約4か月、テヘランの街は普段の姿を取り戻したように見えるが、現地のタクシードライバーからはまだ攻撃の影響が残っているとの声が上がっている。イランのタクシーはアプリの情報をもとに乗客を迎えに行くオンラインシステムがほとんどだが、6月の軍事衝突の後アプリに深刻な不具合が生じているという。配車アプリのナビは実際には遠回りとなるルートを指示していた、このように6月以降GPSが正常に機能しなくなるトラブルが相次いでいるという。不具合の原因は、イラン政府が妨害電波を出しているためとみられている。イスラエルやアメリカがGPSで政府や軍の施設を特定するのを防ぐためだとみられている。

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テヘラン(イラン)

さらにイランでは、今物価高が人々の暮らしを直撃している。テヘラン中心部にある肉や魚の販売店では、この半年間で価格を2割~3割ほど値上げしたという。物価高の大きな原因が、通貨安。6月1日1ドル83万リアルだった為替レートは、軍事衝突後リアル安が進み先月末に国連制裁が再発動されるとさらにリアル安が加速。今月2日には118万リアルになった。軍事衝突と国連制裁の発動で、イランの人々の暮らしがより苦しくなっている。経済が低迷し国の将来に不安を感じる人が増える中、国外への移住を決断する人が増えていることもわかった。国外移住を希望する人のビザ取得を代行する代理店では、国外移住に関する問い合わせが6月以前と比べ5倍以上に増え、1日に1600件に上ることもあるという。この日訪れた40代の女性は、3年程前からよりよい収入を求めて移住を検討してきた。そして、軍事衝突や国連の制裁が再発動される見通しが強くなったことで、より移住を強く希望するようになったという。イラン国営通信は専門家の見方として、2000年以降ことし1月までに約500万人が国外移住したと伝えている。ビザ取得代理店の担当者の机には、移住を希望する人たちのパスポートが山積みになっていた。しかし希望者が増える一方で、ビザ申請を却下される率が高くなっていくだろうと予測している。

生活の現状は

テヘランから中継。「現地の人々の暮らしは、確実に苦しくなっていると思う」と言い。イランでは、アメリカの経済制裁の影響で物価は昨年5月~今年6月までに4割以上上昇し、特に6月の攻撃以降はこれまで経験したことのない水準だと話す人が多く、生活の厳しさがましている。実際に市民に話しを聞くと、将来の不安が強く、この先何が起きるか分からないと語る人が多くいたとのこと。今回取材した国外移住をサポートするビザ代行業者では、厳しい経済状況を理由に移住を決断している人が増えていると話しており、このまま住み続けていてもよりよい生活は望めないという閉塞感がイラン全体を覆っている。また、ペゼシュキアン政権が重視しているのが制裁の発動に反対した中国とロシアとの関係強化。中国はイエランの国家財政を支える原油の主要な輸出先で、取引は継続されるとイラン政府は強調している。また、アメリカが運用するGPSに変わる、中国の衛星測位システムの導入に向けた交渉を始めているとしている。そして、ロシアとは今月新たな原発建設で協力することで合意した。イランは13日にエジプトで開かれた、ガザ地区の和平などを協議する首脳会議に招待されていたが、イランを攻撃するような相手とは関われないとして欠席した。

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(ニュース)
サイボーグ昆虫 シンガポールで進む研究開発

シンガポールのレスキュー隊とともに10匹のサイボーグ昆虫が捜索活動にあたった。今回は行方不明者の発見には至らなかったが、シンガポール政府の災害現場での活躍に期待を寄せている。現在は、より速やかにサイボーグ昆虫を現場に送り込むことを可能にする装置の開発が進められている。

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ホームチーム科学技術庁南洋理工大学

日本でも将来的にサイボーグ昆虫を活用できないかという検討が行われていて、内閣府は社会課題の解決につながる革新的な研究の一つとして佐藤教授の研究を後押ししている。

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佐藤裕崇内閣府
INTERNATIONAL NEWS REPORT
ベネズエラ 在ノルウェー大使館閉鎖

ベネズエラの外務省は、ノルウェーにある自国大使館を閉鎖すると発表した。マドゥーロ大統領は12日、国民の90%が極悪非道な魔女を拒絶していると批判している。ブルームバーグはマドゥーロ大統領がマチャド氏の民主化運動を認めるノルウェーの動きを拒否したと伝えている。

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ニコラス・マドゥロブルームバーグマリア・コリーナ・マチャド
マダガスカル 大統領 クーデターで国外退去か

アフリカ南東部のマダガスカルで政府への抗議デモが続く中、ラジョエリナ大統領はクーデターが起きたことを示唆し、13日、安全な場所に向かったと明らかにした。欧米メディアは、フランス軍の支援で国外に逃れたと伝えている。

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アンドリー・ラジョエリナ
UNHCRトップ “各国からの拠出金 落ち込む可能性が”

UNHCRのフィリッポ・グランディがNHKの取材に応じ、各国が国防費を増額した影響などでUNHCRへの拠出金が落ち込む可能性を示唆した。

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国際連合難民高等弁務官事務所
(エンディング)
皆さんの声

視聴者から寄せられたメッセージを紹介。

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