映画会社大手の「東映」と「松竹」が、デジタルマーケティングを手掛ける新興企業「フラッグ」と資本業務提携し、映画の宣伝などをDX化する新たな仕組みを作ることが分かった。東映と松竹は、それぞれフラッグの株式を7%ずつ保有することに。そのうえで3社で進める新たな仕組み「シネマDXプロジェクト」では、より個人の趣味を反映した映画をおすすめしたり、鑑賞しそうな映画の上映予定を通知したり、きめ細かい顧客管理をできるようにする計画。これまでは映画会社と映画館の間のデータ連携が課題だったが、フラッグのデジタル広告のノウハウで解決を目指す。これにより大作映画以外でも興行成績の底上げを狙うほか、将来的にこのサービスを他の映画会社にも提供したい考え。現在、映画業界では最大手の「東宝」が売上高にあたる営業収入で2800億円を超え、一人勝ちと呼ばれる一方、東宝の子会社で映画館運営の「TOHOシネマズ」が、映画会社などに対し、作品の配給で自社を優先することなどを要請したとして公正取引委員会から調査を受けた。去年改善計画を提出し、違反の認定などは行われなかったが、今回の東映と松竹の提携は「東宝一強」の状況に対抗する狙いもあるとみられる。