ロシアの脅威が高まる中、ドイツが国防力の強化をはかろうとしている。ドイツ政府は軍の採用制度を大幅に見直す法案を閣議決定した。2011年に徴兵制を停止。軍に志願兵が十分に集まらない場合は、徴兵を可能にする規定も含んでいる。法案の概要あh、来年1月から、18歳の男女を対象に兵役への関心アンケートを実施。2027年7月から18歳の男性に身体検査を義務付け、兵役への適正などを把握する。志願兵が集まらない場合、議会の承認を経て徴兵制を再開可能にするという。ドイツ政府は軍の兵士を18万人から26万人に増やす考えだ。予備役も20万人に増やす。ドイツの国防力の強化をはかる一環だが、最大の理由はウクライナへの侵攻を続けるロシアの脅威の高まりだ。メルツ首相は、ロシアはヨーロッパの自由、平和、安定への最大の脅威であり、断固たる姿勢で対応していると述べた。ドイツ政府はメルツ政権になって、ひときわ危機感を強め、ヨーロッパの安全保障に積極的に関与している。ヨーロッパで政策決定の主導権を握りたい思惑もある。背景にはトランプ政権の存在もある。NATOは、国防費などを増額し、各国はそれに見合う支出も余儀なくされている。欧米のメディアは、志願兵の数が大幅に増えるとは考えにくいと見ている。徴兵制の再開に議会の承認がひつ王では時間がかかるとの意見もある。いかなる場合でも徴兵制を再開してはならないとの意見も報じている。若者の間では不安も広がっている。世論調査では、59パーセントが徴兵制に賛成している。若者に限ると64パーセントが反対している。ドイツ政府は、連邦議会に提出し、年内の可決を目指すとしている。多くの議論を呼ぶことになりそうだ。