ロサンゼルスの南、人口20万のハンティントンビーチ。サーフィンの名所として知られているが、今月、住民投票の看板や横断幕で溢れた。争いの舞台となったのは100年以上の歴史を持つ公立図書館。その中にあるこども向けのコーナー。これまでは図書館で働く司書がコーナーに並べる本を選んできたが、おととし市議会が「不適切な図書」を子供用コーナーから別の場所に移す決議を採択。去年、どの本が不適切かを審査する新たな委員会の設置が決まった。規制の動きを推し進めたのは地元の市議会。民主党が強いロサンゼルス周辺にありながら、共和党の強固な地盤であるハンティントンビーチ。去年行われた市議会選挙の結果、7議席すべてをトランプ大統領を支持する「MAGA派」が占めた。その一人で規制を主導したグレーシー・バンダーマーク議員。議員の主張は去年の大統領選挙を前にトランプの2期目に向けて保守系シンクタンクがまとめた政策提言集「プロジェクト2025」と一致する。市議会の動きに反対する住民は“図書館への介入は保守派の政治的な試み”と主張する。地元で民主党員として活動するジーナ・クレイトンタービンは本を審査する委員会を廃止に追い込もうと署名を集め、住民投票の実施にこぎつけた。図書館に携わってきた人たちは市議会による動きに危機感をおぼえている。住民投票の結果、図書館に介入する市議会の動きに反対する側が勝利。