2025年6月20日放送 4:15 - 5:00 NHK総合

国際報道
2025 性教育?ポルノ?米図書館をめぐる攻防の先には

出演者
辻浩平 藤重博貴 酒井美帆 
(オープニング)
オープニング

オープニングの挨拶。

ニュースラインナップ

イランへのアメリカ軍事作戦は”次の1週間が重要”。

(ニュース)
イランへの米軍事作戦は “次の1週間が重要”

18日午前、イランへの軍事介入の可能性についてトランプ大統領は記者団に「次の1週間が重要」と語った。アメリカの有力紙によると、このシチュエーションルームで対応を協議したトランプ大統領が17日遅くにもイランへの攻撃計画を承認したことを側近に伝えたと報じた。イランが核開発プログラムを放棄するかを見極めるため、最終的な命令は保留したとしている。イランへの対応についてトランプ大統領は「戦いたいわけではないが洗濯を迫られたらやるべきことをやる」と話し、軍事作戦の選択肢もあるという考えを示し、イランの核兵器保有を認めない考えを強調した。

アメリカ軍は中東での備えを強化している。アメリカの国防当局者は16日、ヘグセス長官が原子力空母「ニミッツ」を(中東管轄の)アメリカ中央軍の管轄地域に派遣するよう指示したことを明らかにした。AP通信は、最新鋭空母「ジェラルドフォード」もヨーロッパの海域に向け約1週間後に出航すると伝えていて大統領のさらなる選択肢になるとしている。一方でトランプ大統領の支持層から反対の声も上がっている。FOXニュースの元看板キャスター・タッカーカールソン氏はSNSに「イランに対する空爆やアメリカ軍の直接的関与を大統領に求めているのが戦争を擁護する人たち」とイランへの軍事作戦に反対の考えを示した。ABCはカールソン氏とテキサス州の上院議員が口論する場面を放送した。

現地では双方の攻撃が激しさを増している。イランからのミサイルでイスラエル南部の病院などで複数のけが人が出ている。イラン側は”軍の司令部などがある施設が標的”としているが、イスラエル・カッツ国防相は”最悪の戦争犯罪”とSNSに投稿し、イスラエルへの攻撃を強化する考えを強調した。一方、イスラエル軍は19日”イラン西部の稼働していない原子炉を含む数十の軍事目標を攻撃した”と発表した。イギリスBBCはテヘランの状況を伝えた。イランの最高指導者・ハメネイ師は18日「イランは決して降伏する国ではない。アメリカはいかなる軍事介入も取り返しのつかない損害をもたらすことを理解しなければならない」などと述べ”徹底抗戦の構え”を改めて強調した。

18日、EU・カラス上級代表、フランス、ドイツ、イギリスの外相が20日にイラン・アラグチ外相とスイスで会談すると明らかにした。核開発をめぐりイランに交渉の場に戻ることを促すことが目的。アメリカのニューヨークチアムズは18日、イラン政府高官が”トランプ大統領による対話の呼びかけを受け入れることになる”との見方を示した。一方、中国はきょう軍事介入が焦点となっていることに「国際社会で特に影響力ある大国は公正な立場と責任ある態度を堅持すべき」とアメリカをけん制した。

辻’s Angle イラン駐日大使に聞く

軍事衝突が続くイスラエルとイラン。イラン・ペイマンセアダット駐日大使が会見を開いた。大使はイスラエルによる攻撃を非難し「イスラエルの攻撃は戦争犯罪。市民への攻撃はさらに悪化。トランプ大統領のばかげた主張にイランは絶対に屈することはない」などと述べ、トランプ大統領の「無条件に降伏せよ」との投稿に強く反発した。イランはここ数年で約30倍に核施設の遠心分離機を急増させている。60%濃縮ウランの貯蔵量も急増。IAEAは懸念を表明。核開発について大使は「NPT=核拡散防止条約は平和利用のウラン濃縮を制限しておらず核開発を続ける権利がある」と主張。また「アメリカが各合意から一方的に離脱したことへの反発」とした。2015年の核合意のもとイランは各開発を大幅に制限した代わりに欧米などは制限を解除したが、2018年にトランプ大統領が一方的に核合意から離脱し制裁を再開したため、イランは約束が違うとして核開発の継続を主張。大使は「相手側がイラン核合意での利益をゼロにした一方で、こちら側の約束を履行することを期待しないでほしい。これは彼らがしたことへの反応。核の平和利用の計画を止めるつもりはない。われわれの権利だ」と述べた。

大使はイスラエルとイランをめぐりダブルスタンダードが起きているとも批判。事実上の核保有国とされるイスラエルが、核兵器を保有していないイランの核開発を問題視するのはおかしいと指摘。大使は「イランをこのように扱うのは偽善。中東各国に大きな脅威であるイスラエルを無罪放免にし何の責任も果たせないでいる・(イスラエルは)NPTに参加しておらずIAEAの査察も受けていない」と語った。イランのアラグチ外相はあすイギリス、ドイツ、フランスの外相などと会談予定。大使はアメリカとの対話について「双方が納得できる公平な話し合いならイランは外交に前向き」と話した。会見では視聴者から寄せられた質問についても答え、日本政府や日本人に対する期待について「日本はイスラエル政権による侵略行為を止めるため真に貢献できる役割を果たすことができる。原爆のことを一番わかっている日本こそがアメリカやイスラエルがたどっているのは危険な筋道を語ることができる」と述べた。

パレスチナめぐり 揺れるフランス社会

パレスチナのガザ地区ではイスラエルによる攻撃が続き死者は5万5000人を超えた。先月下旬以降、イスラエル軍による住民への発砲で397人が死亡し3000人以上がけがをしたという。ヨーロッパ最大とされる約50万人のユダヤ系住民が暮らすフランスでは社会が大きく揺れている。4月にはマクロン大統領がパレスチナを国家承認する考えを示したが、その是非に国内世論は分かれている。

赤く染まったパリの噴水。人権活動家などがガザで犠牲になった人々の血に見立てイスラエルへの抗議の意思を示した。いまフランスでは抗議デモが各地で行われている。抗議行動の一部は過激化し、ユダヤ系住民の関連施設が汚されたり、ユダヤ教の聖職者が襲撃される事態に発展。カフェで突然襲われたというユダヤ教の聖職者もいた。ユダヤ系住民の団体によると、イスラエルとパレスチナの衝突が始まったおととし10月以降、反ユダヤ的な事案が増加し、2022年の436件からおととしと去年は1500件を超えた。フランスを離れる人も出ている。去年イスラエルに移住したユダヤ系フランス人の男性はおととし10月以降、友人が離れSNSなどで嫌がらせを受けるようになったというが「フランスとイスラエルの文化は全く違う。ここにいて幸せ」などと話した。

パレスチナの国家承認をめぐる動きが注目されている。ことし4月、マクロン大統領はパレスチナを国家承認する考えを示した。ガザ地区での戦闘で2国家共存による和平が遠のく中、その機運を閉ざさないようにしたい狙いもあるとみられる。パレスチナ当局によると、現在約150か国がパレスチナを国家として承認しているが日本を含むG7などは承認せず、フランスが承認すればフランスがG7初となる。”フランスが承認する場になる”と注目された国際会議は中東での軍事的緊張の高まりから急きょ延期になったが、フランス社会はその是非をめぐり意見が分かれている。

パレスチナとの交流に取り組む団体のシャルロットブランジオファリッド会長は、フランスとパレスチナとの姉妹都市提携を仲介するなどパレスチナとの連帯拡大を目指してきた。会長は多くの国がパレスチナを承認しているのにG7が承認しないことに憤りを感じていて「理解できない」と語った。一方、ユダヤ系住民の団体は今月声明を発表し、ハマスが人質を返還していない状況でパレスチナを国家として承認することはテロの称賛につながるなどとし”政府は行動すべきではない”と強く求めた。ユダヤ系フランス人の女性はガザの状況に心を痛めているが、それでもパレスチナの国家承認は受け入れがたいとし「将来的には国家として承認すると思うが、それは時期が来た時」などと話した。パリでは先週末にも大規模な集会が行われ、数千人がイスラエルへ抗議した。

視聴者から寄せられたパレスチナの国家承認についての声を紹介した。現在約150か国がパレスチナを国家として承認しているが日本を含むG7などは承認していない。承認していない理由の1つは、国会承認はイスラエルとパレスチナの平和が実現してからという考えが根強いから。フランスが本当に国家承認に踏み切るのか、他の主要国にもその動きが広がるのか注目される。

皆さんの声 募集中

番組では皆さんの声を募集中。画面左下のQRコードを案内した。

WOW!The World
まるで映画?宝石店泥棒

アメリカ・カリフォルニア州の宝石店に泥棒。犯人は近くの菓子店の屋根に穴を開けて侵入。床を這って監視カメラに近づき、スプレーをかけた。その後、数時間かけて壁を壊し、金庫から宝石など200万ドル相当を盗んだ。4月には別の宝石店でも近くの建物から侵入した泥棒が2000万ドル相当の物品を盗んだ。

結婚20年 麦で愛のメッセージ

アメリカ・カンザス州で農業を営む夫婦は今年結婚20周年。夫が妻へ愛のメッセージを育てた。異なる色に色づく麦の種を巻いて夫婦の名前と20年の文字を描いた。飛行機から見た妻は大感激。

ガラパゴスゾウガメ 134歳でパパに

アメリカ・フロリダ州の動物園でガラパゴスゾウガメの赤ちゃんが生まれた。1981年に動物園にやってきたオスの“ゴリアテ”は134歳で初めてパパに。史上最高齢で父親になった動物としてギネス世界記録に申請しているという。

(ニュース)
ウクライナ侵攻 北朝鮮の兵器がロシア支える実態 明らかに

17日にかけてロシア軍の無人機やミサイルによる大規模な攻撃があったウクライナの首都キーウ。9階建ての集合住宅にミサイルが着弾したとみられる。集合住宅の現場から“新たに12人の遺体が収容された”と伝えられていて、非常事態庁によると、キーウだけでこれまでに28人の死亡が確認された。集合住宅の現場では救助隊400人以上が救助・捜索活動を続け活動を終えたことも明らかになった。一方、ロシア軍の指揮を取るゲラシモフ参謀総長は18日、ウクライナ頭部のドネツク州の前線を訪問し、兵士に対し一人ずつ勲章を手渡した。これに先立ち、ロシア国防省は今月上旬、新たに“ドニプロペトロウシク州に軍の部隊が到達した”と発表していて、今回の訪問は“東部での攻勢で成果が上がっている”と強調する狙いがあるとみられる。ウクライナ側は“ドニプロペトロウシク州内にロシア軍は侵入していない”としているが、前線の部隊の報道官は取材に対し“激しい攻防になっている”と明らかにしている。ロシア軍がウクライナへの攻勢を強める中、軍事協力を深めているのが北朝鮮。去年6月、有事の際に互いに軍事支援することを明記した「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名して以降、一層深まっている。条約を結んで今日で1年になるのに合わせ、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は条約に触れ、「伝統的な両国の親善が真の同盟関係に昇格した」と伝えた。一昨日にはロシアのショイグ安全保障会議書記が北朝鮮の金正恩総書記と会談。北朝鮮はロシア西部のクルスク州での地雷除去や復興支援のためとして工兵ら6000人を派遣すると表明した。また北朝鮮がロシア国内の無人機の生産工場に労働者を派遣して組み立てを後押しする一方、無人機の操縦も習得させる計画が検討されているということが分かった。さらにウクライナの戦闘現場にも。キーウの犯罪科学研究所が公開したのは去年攻撃で使われた短距離弾道ミサイル。ロシアは今年3月までの1年半余で北朝鮮製の90発以上の弾道ミサイルを使用。4月下旬には中心部の住宅街への攻撃で13人が死亡するなど繰り返される攻撃で多くの死傷者が出ている。ウクライナ軍の情報期間は“今年は少なくとも150発の弾道ミサイルが北朝鮮からロシア側に供給される見通しである”として警戒を強めている。

SPOT LIGHT INTERNATIONAL
背景に“トランプ派” 公立図書館めぐる争い

ロサンゼルスの南、人口20万のハンティントンビーチ。サーフィンの名所として知られているが、今月、住民投票の看板や横断幕で溢れた。争いの舞台となったのは100年以上の歴史を持つ公立図書館。その中にあるこども向けのコーナー。これまでは図書館で働く司書がコーナーに並べる本を選んできたが、おととし市議会が「不適切な図書」を子供用コーナーから別の場所に移す決議を採択。去年、どの本が不適切かを審査する新たな委員会の設置が決まった。規制の動きを推し進めたのは地元の市議会。民主党が強いロサンゼルス周辺にありながら、共和党の強固な地盤であるハンティントンビーチ。去年行われた市議会選挙の結果、7議席すべてをトランプ大統領を支持する「MAGA派」が占めた。その一人で規制を主導したグレーシー・バンダーマーク議員。議員の主張は去年の大統領選挙を前にトランプの2期目に向けて保守系シンクタンクがまとめた政策提言集「プロジェクト2025」と一致する。市議会の動きに反対する住民は“図書館への介入は保守派の政治的な試み”と主張する。地元で民主党員として活動するジーナ・クレイトンタービンは本を審査する委員会を廃止に追い込もうと署名を集め、住民投票の実施にこぎつけた。図書館に携わってきた人たちは市議会による動きに危機感をおぼえている。住民投票の結果、図書館に介入する市議会の動きに反対する側が勝利。

LIVE>>ロサンゼルス “図書館への介入” 反対派が勝利/「ポルノから守れ」逆効果に?/価値観めぐる対立“文化戦争”/多様性・公平性…政権の標的に/“米国民おとしめる情報 見つけたら通報を”

ハンティントンビーチの住民投票では市議会の方針に反対するグループが勝利した。トランプ支持者の多い市だが、トランプに投票した人たちがトランプの政策の全てを支持しているわけではないという。「子どもたちをポルノから守れ」とポスターが街中に貼られたことが逆効果になったこともあったという。図書館をめぐって今年3月には図書館への助成を行う政府機関を不必要だとして“可能な限り解体する”といった大統領令に署名した。この助成が大幅に削減されれば、各地の公立図書館の存続に関わる問題になる。政権発足初期にはDEI、多様性や公平性を推進するための政策を撤回したり、トランスジェンダーの女性のスポーツ大会への参加にも圧力をかけている。歴史館をめぐる動きも表面化している。

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