カナダのカーニー首相にインタビューしたアメリカ総局の森健一記者は、「現実を見据えるリアリストの顔がはっきりと見えた。ミドルパワーを束ね上げようとしているのではないということ。多国間の交渉の場が機能しない以上、分野ごとにミドルパワーの各国がそれぞれ連合体を組んで対応するという考え方は、現実路線の現れ。政策の根底にあるのは、安全保障と経済の両面で過度なアメリカ依存から脱却するということ。カナダは先月国内の防衛産業を育成するための戦略を初めて作成し、すでにロケット開発や通信システムなどのスタートアップ企業が次々と立ち上がっている。イラン情勢についても、現状では自分たちでコントロールできることは少ないという現実に向きあっている。『子どもたちの世代に今の世界をこう変えるべきだと伝えるとすればどういう内容になるか』と尋ねると、首相は『互いの関わり方を深めていくという理想論の後に、平和を維持するためには抑止力となる力も必要だと伝えていく』と答えた。発展途上国のような持たざる国にどう向き合うかを問うと、首相の答えは『ミドルパワーが示す道を他の国々が手本にして、公平で公正な仕組みを再び築き上げていくことになる』というものだった。現実に適応することを土台にしつつ、理想も説く。カーニー首相の言動は今後も世界の向かう先を読み解く上でヒントになる」などと語った。
