インドは国をあげて雑穀の需要喚起に取り組んでいる。ミュージックビデオにはモディ首相自ら出演し、雑穀を新たな食の柱にしようと呼びかけている。市民の間でも雑穀人気が高まっている。雑穀専門レストランは定番のインド料理からお菓子までほとんどが雑穀を使ったメニューで、今では7店舗を構え、今後も拡大する方針。雑穀が注目される背景にあるのは気候変動。近年、気温が50度を超える記録的な猛暑に見舞われるのあるインドは干ばつも深刻化し、米や小麦などの穀物の生産に影響が広がっている。世界一の人口を持つインドではとりわけ食料危機への懸念が高まっている。農家のラスピンデル・グレウォールさんは、干ばつで米作りに必要な地下水が減ったため、米の栽培を5年前にやめた。去年は高温の影響で小麦の収穫も例年の半分に落ち込んだ。一方で、雑穀の栽培面積は10倍以上に増やしている。インド政府は雑穀を使った新たな商品開発につなげようと、企業への支援にも乗り出している。先月には雑穀の魅力をPRするイベントが開かれた。これまで400以上の企業の商品開発を支援してきたインドの雑穀研究所はその意義を強調する。