日本を代表するラガーマンが現役生活に別れを告げた。田中史朗さんは、3大会連続でワールドカップに出場し、進化する日本ラグビーを支えてきた。人目をはばからず流す、涙。そこにはどんな思いがあったのか。田中さんは攻撃の起点となるスクラムハーフとして活躍。身長1m66cmの小さな体で、屈強な相手に立ち向かってきた。その思いを強くしたのが2011年のワールドカップ。日本は1勝もできなかった。田中さんはその後ニュージーランドに渡り、世界最高峰のリーグ・スーパーラグビーに日本選手として初めて挑戦する。そのとき妻の智美さんには「僕がもし海外に行ってチャレンジして死んだら、新しい人を見つけて幸せになってね」と悲壮な決意を伝えていた。妻に支えられて臨んだスーパーラグビーの舞台。世界トップクラスの選手と渡り合った。そして、日本代表の中心選手として2015年のワールドカップで南アフリカから歴史的な勝利。その後も小さな体で日本代表を支え続けた田中さん。集大成と位置づけた2019年の日本大会で、チームは過去最高の成績を上げた。大会後のパレード。目の前にはかつてとは全く別の光景が広がっていた。これからの第2の人生田中さんには大きな目標がある。「将来的には日本代表のヘッドコーチをやってみたい」と話した。