先週末、ダウ平均株価は終値で史上初めて4万ドルを超えた。米国の消費減速が意識される中、FRBによる利下げの開始時期が早まると観測が、大きな追い風となったため。一方、日本株は3月に史上初めて4万円を超えてから徐々に失速3万7000円台まで値下がりし、きょう3万9000円台を回復。背景にあるのが行き過ぎた円安。これまで円安と言えば日本経済を引っ張る輸出企業にとっては業績を押し上げる強力なプラス材料だったが、急速に進んだ円安について企業からはマイナス面を指摘する声も上がっている。三菱商事・中西勝也社長は「円は国力を表すので、円安が進むことは国力が弱くなるという側面もある。海外でM&Aをする際、円安というのは非常にボディーブローとして効く」、日本航空・斎藤祐二副社長は「もう少し為替の水準については是正されるとありがたい」とコメント。帝国データバンクのアンケートによると、63.9%の企業が円安の進行は利益にマイナスと回答。急速な円安は我々の生活を圧迫している。円安による物価高で、実質賃金は過去最長となる24ヵ月連続のマイナスとなった。きょう経団連が発表した今年の春闘の賃上げ率は5.58%。33年ぶりの高水準となった。経団連・労働政策本部・新田秀司本部長は「賃金の引き上げをしっかりと根付かせて定着化して、社会的なノルムとしていくことが非常に大事」とコメント。大幅な賃上げが定着し実質賃金がプラスに転じるかどうかが、この後の日本経済と株価再上昇の大きなカギとなる。