ことしのノーベル平和賞に選ばれた日本被団協。来週10日にはノルウェーで授賞式が開かれる。授賞式には首都圏に住む被爆者も6人出席する予定。中野区に住む家島昌志さんは東京の被爆者団体の代表理事を務めている。日本被団協のメンバーでもあり現地での授賞式に臨む。3歳のときに広島の爆心地から2.5キロの自宅で被爆。家にいた母親が飛び散った窓ガラスでけがをしたもののほかの家族は奇跡的に無傷だった。家島さんは大学卒業後、就職を機に上京。首都圏でもふるさとを離れた被爆者が声を上げてきたことで国の救済策や核拡散の抑止に一定の役割を果たしてきた。そうした姿を東京で暮らしながら見てきた家島さんは戦後、がんで亡くなった父親は原爆投下直後に親戚を捜すため爆心地近くに入っていた。放射線の影響を受けたに違いない、のちのちまで影響が続く核兵器は絶対に許せない。定年退職後、その思いに背中を押されるように団体の活動に携わるようになった。その後、家島さんは東京に住む被爆者を代表する立場となり海外でも証言するなど核廃絶を訴えてきた。平和賞の決定後、先月下旬に開かれた会の集まりで授賞式に臨むメンバーに対し都内の被爆者たちが思いを託した。被爆者が高齢化して年々少なくなる中、首都圏では活動がままならない地域も目立つようになり危機感が強まっている。今回の受賞が国際社会が核兵器廃絶にさらに踏み込む力になってほしいと考えている。日本被団協の代表団は今月12日までノルウェーに滞在し、現地の若者にも被爆の実相を証言する予定。また東京の団体は被爆80年となる来年、展示会を開くなどして発信を強めていきたいとしている。