バンコクと中継を結び、アジア総局の島崎浩よりレポート。東南アジアは旧日本軍による過酷な統治に加え、日米の激しい戦闘に巻き込まれるなど、今なお各地に傷跡が残っている。占領下に置かれた国々の特に高齢者には、今も日本への反感を抱く人もいる。ただそうした反感は、長い年月を経てかなり薄まっている。戦後巨額の経済援助を行い、平和国家として歩んできた日本への評価もある。マレーシアのように戦時中日本の支配に苦しみながら、戦後は「日本に学べ」と発展を目指した国もある。日本のアニメなどの影響もあり、東南アジアではどの国に行っても日本への親しみを表す人たちによく出会う。それでも東南アジアにとっての戦争の記憶が風化したとは言えない。戦争の体験者は年々少なくなり記憶の継承が難しくなっているが、悲惨な戦争の歴史が未来への教訓となってもらいたいというのが、多くの人たちの願いとなっている。
