日本の男性背泳ぎを長く牽引してきた入江陵介選手がきょう現役引退を発表した。会見直後、松岡修造さんが話を聞いた。入江陵介と言えば世界一美しいと言われるフォームを武器に2012年のロンドン五輪では個人で2つのメダルを獲得した。しかしそれ以降の世界大会では個人で表彰台に乗ることは叶わず、競技生活の多くは苦しい時間との戦いだった。それでも泳ぎ続けた理由を修造さんが聞くと「試合や練習は本当にしんどいけど、日本代表にいるときが楽しかった。家みたいなもので家族みたいな感じなので、そこ自分がいるのが当たり前になっていた。高校2年からずっと。家に帰ってまた同じ1年を代表として過ごすみたいな」と語った。さらに泳ぎ続けてきた理由はもう一つあり、「自分がやめてしまったら背泳ぎ代表がゼロになるという時期もあった。競泳界のために若い選手がでてきて欲しい、超えてほしいという気持ちも持っていた」とのこと。そんな思いを抱えて臨んだ先月のパリ五輪代表選考会。200メートル背泳ぎ・決勝。自身の”居場所”でもある代表入りがかかったラストチャンス。隣を泳ぐ19歳の竹原とともにレースを引っ張る。勝ったのは竹原。派遣標準記録を突破し、パリ五輪代表決定。そして5大会連続出場の夢が途絶えながらも笑顔で後輩を讃える入江の姿があった。入江選手は「悔しい思いもあったけど、竹原くんがパリ五輪を決めてくれてうれしかった。ようやく終えることができる、辞めることができるという感覚になった。今後が楽しみな選手が増えたので、いろいろチャレンジしてほしい」などと話す。