ドンキホーテの運営会社・パンパシフィックインターナショナルホールディングス。直近の売り上げでは小売り業界4位に位置し、34年連続で増収増益を続けている。小売業・売り上げ(直近の決算):1位・セブン&アイホールディングス、2位・イオン、3位・ファーストリテイリング。ディスカウントストアとして成長してきた企業が、歴史的なインフレの中でどのような成長戦略を描こうとしているのか、会社の社長に聞いた。ディスカウントストアを中心に、全国およそ630店舗を展開する会社を率いる吉田直樹社長。成長の秘密の一端が、店舗のお酒コーナーからうかがえるという。仕入れているのは、1本50ミリリットル程度の小さなウイスキーやジン。主な購入層は若者。アルコール離れが指摘されているが、飲みきりタイプなら購入したいという需要を捉えた。5年前に社長に就任した吉田さんがすぐに直面したのが新型コロナ。客足が減り、売り上げの1割を占めていたインバウンド需要がほぼゼロに。それでも増収増益を続けられた背景には、商品の独自性を徹底的に追求する差別化戦略がある。フライドチキンの皮だけを具材に詰めた弁当や紅ショウガにお酢を混ぜた調味料、そしてチョコレート風の菓子は大手メーカーが開発したものを独占販売している。暑くても溶けないことが東南アジアなどでSNSで話題になり、今では店のヒット商品になっている。吉田社長に今後の戦略を聞いた。小売りは飽和状態ともいわれるが、まだ余地はあるか?との問いに「私たちはあると思っています。ディスカウンターへの期待は非常に大きい。価格でも勝負をしているけど価格以外でも提供価値を見つけている。変化はすべて受け止めて、どう最適な解を出していくか、それにつきる」と述べた。会社は、店長など現場にかなり大きな権限を与えている。そのことが消費者のささいな変化も捉えて成長につながる鍵だと吉田社長は話していた。