日本製鉄による米国の鉄鋼大手、USスチールの買収について、バイデン政権が近く正式に買収を差し止める判断を下すと複数の欧米メディアが報じた。買収計画について米国の安全保障への影響を審査する政府の委員会が、買収により「克服できない安全保障上の懸念が生まれる」と判断し、すでに日本製鉄側に伝えたという。一方、USスチール・ブリットCEOは米国メディアの取材に対し、日本製鉄による投資は「競争力と雇用を維持するために欠かせない」とし、買収が破談になった場合、ペンシルベニア州にある製鉄所が閉鎖に追い込まれる可能性が高いとの認識を示した。また、USスチールは「日本は最も強固な同盟国の1つで、買収に安全保障上の問題はない」とコメントしている。この買収をめぐっては、ハリス副大統領が2日、反対の意向を示したほか、トランプ前大統領も「再選されれば買収を阻止する」と表明していて、11月の大統領選を前に政治問題となっている。日本製鉄は報道を受け、コメントを発表。外国投資委員会の審査について、「審査結果は受領していない」と明らかにした上で、「法に則り、適正に審査されるものと強く信じている」としている。また、「買収が国家安全保障上の懸念がないことを米国政府に対して明確に伝えてきた」と説明している。