生成AIといえば、オープンAIのチャットGPTなど海外勢が先行しているが、今、日本に特化したAI技術を武器に市場を切り開こうとする日本のベンチャー企業がある。2014年に設立された東京のITベンチャーは、画像スキャンや産業用ロボットなど、AIのサービスを開発してきた。去年は石油元売り大手のプラントにAIの技術を提供して、業務の効率化を支援した。プラントの運転は温度や圧力など、さまざまなデータの変化を技術者が監視しながら手動で行ってきたが、プラント内に蓄積された膨大な情報をAIに学習させることで、運転を一部自動化することに成功した。今、この会社が新たに取り組んでいるのは、日本語に特化した生成AIの開発。生成AIは質問に回答したり、アイデアを出したりするが、その能力を左右するのが学習させる言語の量や質になる。海外企業の生成AIは、日本語による学習量は少なく、不自然な日本語や日本の文化にそぐわない回答を導き出すケースがあると指摘されている。一方、このITベンチャーは、日本語の学習量を大幅に増やし、日本文化にまつわるデータを学ばせた。その結果、現時点の生成AIの性能テストで、日本語の分野では海外勢を上回ったことが確認された。今後はまず、製造業や素材産業などで使われる専門用語を学習させて、需要が拡大する国内のAI市場を獲得していきたい考え。国産の生成AIの開発は国も後押ししている。このITベンチャーを含め、複数の企業や大学などが国の支援を受けて開発を進めている。そのうちの1社、元グーグルの研究開発者らが創業した・sakana.aiはおととい、最新の技術を発表した。AIが生成した浮世絵風の画像を紹介。「植物と花がある、蝶が飛んでいる、最高品質の浮世絵」と入力して指示すると表示され、およそ2万4000点を超える浮世絵の画像データを学習したという。