日本生命NY投資現地法人・漆山さんに注目の企業を聞くと「再来週に決算を控える飲料大手・ペプシコのヨーロッパでの動向に注目している。今月、フランスの大手スーパー・カルフール社がペプシコ社のソフトドリンクやスナック菓子の販売をフランス・スペイン・イタリア・ベルギーの4か国で取りやめると発表した。ペプシコ社による急ピッチな販売価格の引き上げ要請が今回の小売店側からの強い反発につながった。実際にペプシコ社は2022年以降大幅な値上げを通じ増収増益を達成しており、今年も緩やかな値上げを継続する方針を表明していた。とりわけヨーロッパは高い物流コストなどを要因に北米など他の地域と比べても値上げ幅が大きかったことも今回の小売店側からの反発の背景にあると予想される。今回販売停止となったカルフール4か国の店舗におけるペプシコ商品の売上は一部アナリストの試算によるとペプシコ社のグローバル売り上げの約0.25%ほどにとどまり、今回のカルフールによる販売停止がペプシコ社の業績に直接与える影響は現時点では限定的との見方。一方、引き続き食品インフレが家計に重くのしかかるフランスでは食料品メーカーと小売業者の価格交渉をめぐる動きに閣僚がコメントするなど、政府も大いに注目している。また、価格は据え置くものの数量を減らし実質的に値上げをする『シュリンクフレーション』に該当する商品については、消費者が正しく把握できるよう、ラベル表示を小売店舗側に求める法案もフランス国内で検討されている。こうした値上げに対する小売店舗・政府・消費者からの反発が今後さらに広がればペプシコ社を含め、コロナ禍以降積極的な値上げで業績を伸ばしてきた企業にとって想定以上の重しとなるリスクには留意が必要」などと述べた。