米国では21日、国内でのAIに関するインフラ整備に、今後4年間で日本円にして77兆円を超える巨額の投資を行う計画が明らかになった。今、AIの判断を人間に近づけようという技術開発が加速している。ジョージア州のエモリー大学で開発が進むのは、AIドクター。AIが判断するのは、薬を処方すべきかどうか。患者の特徴や病歴などの情報を分析し、今では特定の薬について本物の医師と100％同じように判断できるとしている。こうしたAIによる判断は進化を続けている。IT大手などが手がける生成AIは、人間が指示を打ち込み、限定的な範囲で答えを導き出す。今研究が進んでいるのは、こうした生成AIを超えるAGI（汎用人工知能）とも呼ばれる技術。AIがみずから考え、未知の問題でも解決できる能力を持つとされている。開発中のロボットは、初めて見る洗濯物でも、みずから種類や向きなどを判断し、うまく畳むことができる。
ペンシルベニア州のテンプル大学では、ユニークな方法でAGIを目指す研究を進めている。画面上で不規則に動くボールを打ち返そうとAIがみずから考えて動かすゲームを紹介。最初はうまく当たらないこともあったが、徐々に上達していったという。将来的には感情を持たせるなど、より人間に近いAIの開発につなげたいという。
開発が進む一方で、リスクを懸念する声も。ケンタッキー州にあるルイビル大学では、AIが人間を超える能力を手に入れたときの課題を議論。学生からは、AIが勝手に核兵器を作り出すなど、人間の制御が利かない事態を心配する声が多く上がった。授業を行った専門家は、リスクを想定した備えを今から進めるべきだと警鐘を鳴らす。SF映画「2001年宇宙の旅」では宇宙船を制御するコンピューターが反乱を起こし、宇宙飛行士が命を失う内容だった。