携帯電話の緊急地震速報があの音なのは人の命を救うために計算し尽くされた音だから。京都大学防災研究所の山田准教授が解説する。緊急地震速報システムを作るきっかけとなったのは阪神・淡路大震災。揺れが来る前に地震を知らせるため2003年頃から気象庁を中心にテレビの緊急地震速報の開発が進められた。2007年10月にテレビでの運用が開始された。携帯電話も広く普及してきたため2007年から携帯電話の速報も開始。そのとき国民に瞬時に危機意識を持たせるため環境音楽家の小久保隆氏によってあの音が作られた。依頼した大手電話会社の執行役員が小久保氏のコアなファンで、2005年頃から携帯電話の楽曲の仕事の依頼をしていた。緊急地震速報は寝ている人を起こせるような音にしてほしいという依頼だった。小久保氏は「低音から高音へ短時間で変化する音スウィープ音」「伝わりやすい周波数を使う」「3回繰り返す」という3つのコンセプトをもとに、計算をし尽くして音を開発した。緊急地震速報の音が誕生して4年後に東日本大震災が起きた。またニュージーランド・アロータウンの川のせせらぎやボルネオ島のチメドリの鳴き声といった50か国以上を回って録音し続けた小久保氏選りすぐりの「世界の癒される音」を紹介した。
