スウェーデン・ボルボカーとドイツ・メルセデスベンツグループは2030年までに販売する全ての車をEVにする計画を相次いで撤回した。ドイツ・フォルクスワーゲンは創業以来初めて国内工場の閉鎖を検討していることが明らかになったが、これもEV戦略の誤算が影響しているとみられる。トヨタ自動車は2026年に世界で150万台のEV販売の目標を掲げていたが、このうちバッテリー式EVは100万台で、のこりはプラグインハイブリッド車も含めて達成を目指している。背景にはEV販売の勢いが世界的に鈍化していることが指摘されているが、中国メーカーの台頭が想定以上に早いこともある。伊藤忠総研・深尾三四郎エグゼクティブフェローは「中国勢は電池における資源の囲い込みが進んでいるので値下げをする力があり、シェアを奪っていった。いよいよ雇用が奪われる曲面に入っているのがフォルクスワーゲンの工場閉鎖のニュースで現われた。日本は電池において量ではなくて質で勝負する。日本が強みとする安全性の高い電池が世界的にニーズが高まりつつあるので安値競争に追随しない形のEVを作ることが必要だと考えている。また自動運転などソフトウェアの開発に人材や経営資源を投入することも生き残りのカギになる」という。