10億人近い有権者が投票するインドの総選挙について。1か月半にわたった投票が来月1日に終わり、4日、一斉に開票される。各種世論調査では、現在、議会下院の過半数を占める政権与党インド人民党の優勢が伝えられ、もし与党が勝利すれば、モディ政権は3期目に突入する。インド経済をけん引し、GDPを日本に次ぐ世界5位に押し上げたモディ首相のリーダーシップが評価される一方で経済発展の恩恵が受けられない人たちもいる。インド経済の光と影を取材した。モディ首相の出身地、西部グジャラート州。インドの発展をさらに加速させるプロジェクトが進んでいた。東京23区が収まるほどのこの広大な敷地で再生可能エネルギーの発電施設の整備が進められている。夏の最高気温が50度を超える砂漠地帯に州政府が700平方キロメートル以上の敷地を確保。太陽光と風力を組み合わせた世界最大の発電施設をつくる計画。5年後の運用開始時には、インドで1600万世帯の消費量に相当する年間3000万キロワットの電力の生産を目指す。プロジェクトを進める地元企業の担当者は長年足かせとなっていた電力不足の解消と世界的な課題である脱炭素に貢献できると自信をにじませていた。政府主導でインフラ整備を進め海外からの投資を誘致するモディ流の経済政策。これまで首相みずからが旗振り役となって外資に呼びかけた結果、日本の大手自動車メーカーや米国の半導体大手など、世界の名だたる大企業が競い合うように投資を表明。来年にはGDPが日本を上回り世界4位に、3年後には3位になると推計されている。
経済発展を遂げる一方で農家の窮状を訴える大規模なデモが各地で繰り返され、2月には首都ニューデリーの近郊に迫った。人口の6割が暮らす農村部は経済発展から取り残されていると不満を募らせている。農村部では、かんがいや流通といった農業に不可欠なインフラの整備が遅れ、生産性の低さが指摘されている。平均所得は都市部の3分の1にとどまるという推計もあり、天候不良やエネルギー価格の高騰などの影響で追い詰められる農家も少なくない。インド西部で暮らすラビータアワタデさん。綿花を栽培していた夫が去年12月、生活苦を理由にみずから命を絶った。近くにかんがい施設がないため長年、大雨や干ばつによる不作に悩まされてきた。収穫は不安定で業者に安く買いたたかれることもあった。種や肥料を購入するために地元の金融業者から資金を借りたものの高い金利が払えなくなり、ついに命を絶った。ラビータさんは2人の子どもを抱え、将来に絶望している。貧困にあえぐ農家を支援するNGOは新政権に対策を求めていくとしている。
経済発展を遂げる一方で農家の窮状を訴える大規模なデモが各地で繰り返され、2月には首都ニューデリーの近郊に迫った。人口の6割が暮らす農村部は経済発展から取り残されていると不満を募らせている。農村部では、かんがいや流通といった農業に不可欠なインフラの整備が遅れ、生産性の低さが指摘されている。平均所得は都市部の3分の1にとどまるという推計もあり、天候不良やエネルギー価格の高騰などの影響で追い詰められる農家も少なくない。インド西部で暮らすラビータアワタデさん。綿花を栽培していた夫が去年12月、生活苦を理由にみずから命を絶った。近くにかんがい施設がないため長年、大雨や干ばつによる不作に悩まされてきた。収穫は不安定で業者に安く買いたたかれることもあった。種や肥料を購入するために地元の金融業者から資金を借りたものの高い金利が払えなくなり、ついに命を絶った。ラビータさんは2人の子どもを抱え、将来に絶望している。貧困にあえぐ農家を支援するNGOは新政権に対策を求めていくとしている。