マイナンバーによる個人情報の照会システムは、国が2014年度から総額2100億円以上の経費や補助金を投じて整備してきた。会計検査院は、このシステムの全国の自治体の利用実績を調査したところ、令和4年度ではシステムを利用した照会件数は3029万件余りに上った。一方、手続き別の利用実績では、3分の1に当たる485の手続きで、全自治体でシステムが一度も利用されていないなど、活用が進んでいない手続きもあった。会計検査院がシステムを活用しない理由を、抽出した451の自治体に尋ねたところ「システムを利用するより、市民に書類を提出してもらうほうが効率的」とか、「業務フローの見直しやマニュアルの作成ができていない」といった回答が多く寄せられた。会計検査院は、多額の国費を投じて整備したシステムが効果を生むよう、デジタル庁などの関係省庁に対し、システムの利用状況の把握や自治体への助言など、活用推進に向けた適切な対応を求めている。