ハワイ・マウイ島西部で去年8月に起きた大規模な山火事で亡くなった人は101人に上る。今月、その火事から半年となった。去年10月には観光客の受け入れを再開し、観光客数は例年の8割程度まで回復している。被災者たちで作るグループは、行政が観光再開を優先させる中で住民の生活がおざなりにされていると訴えていた。ホテルから車で5分余り離れると、半年前とあまり変わらない光景が広がっていた。町の中心部は今も立ち入りが規制され、焦げた臭いが漂っていた。火事で住まいを失ったエティナ・ヒンガノさんは、炎から逃れて5時間水中にいたことで九死に一生を得た。ヒンガノさんは今も夫と2人、ホテルで暮らしている。マウイ島ではアメリカ本土などから投資目的で不動産を買い求める動きがコロナ禍をきっかけに加速し、住宅価格が高騰している。行政は民泊用の住宅を当面借り上げる考えだが、思うように協力を得られていない。市民団体は、観光と住民生活を両立させる難しさが浮き彫りになっていると指摘する。建物の被害は2200棟以上で、がれきの撤去作業は始まったばかり。島のアイデンティティーを見つめ直そうと、町の文化保存に長年取り組んできたケエアウモク・カプさんは、復旧作業のなかで歴史的な遺産が破壊されないよう行政の委託を受け監視している。この日、カプさんが企画したのは、島の住民4000人と行進するイベント。復興に向けた思いを共有したいと考えた。