ビジョンメガネ 町屋店では、裏ではスタッフがお茶を入れている。そのお茶は特注品で静岡のお茶メーカーに独自にブレンドしてもらっているという。こだわりのお茶を店にお客が入ってくるたびに出しているという。来店していたのは常連客。しかしビジョンメガネは過去に存続の危機に陥っていた。ビジョンメガネは1976年に東大阪出身の吉田武彦が創業した。個人店中心の時代にチェーン店展開し、品質の良い商品を求めやすい価格で販売した。業界屈指の利益率を誇る眼鏡店ぶ。安東が入社したのは1996年。2000年代に入ると、眼鏡業界に激震が走り、格安チェーン店が一気に台頭した。眼鏡は数万円という時代に価格破壊を起こした。対応を迫られたビジョンメガネは、格安ブランドの「マックスエー」を出店。全国に16店オープンしたが3年後に撤退。ジリ貧状態となり2007年度には赤字に転落。その後も業績は改善できずい、2013年には最悪の事態となり、負債77億円を抱え経営危機に、親会社のビジョンホールディングスが突如辞任し、責任者が不在となってしまった。しかし2011年にビジョンメガネの販売子会社を務めていた安東に親会社の社長就任が持ちかけられた。2013年に安東は親会社のビジョン・ホールディングスの社長も兼任することに。それからわずか2週間後には、民事再生法の適用を申請し、全体の4分の1にあたる42の赤字店舗を閉店し、100人のリストラを断行した。人員整理をしながら安東は、迷惑をかけた取引先を謝罪してまわった。そのうちの1社が昭和光学で斜視や強い乱視向けの高品質のレンズを数多く製造するメーカーで、当時債権者集会に参加したという西田さんは先行きが不透明で不安だったという。しかし社長の謝罪に一緒に頑張ろうと思えたという。