韓国では昨夜、ユン・ソンニョル大統領が「非常戒厳」を宣言し、戒厳司令部が議会や政党の政治活動を禁じ、報道の統制などの措置を示した布告令を出した。ソウルにある国会には軍が動員され、入り口に多くの市民が集まり抗議を行うなど騒然となった。その後韓国国会はきょう未明に非常戒厳の解除を要求する決議を可決し、大統領は解除要求に応じる必要があり、ユン大統領の対応が焦点となっていたが、午前4時半ごろに非常戒厳を解除し、軍を撤収させる考えを表明した。ユン大統領は「すぐに閣議を通じて国会の要求を受け入れ戒厳を解除するだろう」と述べた。おととし発足したユン政権の支持率は20%前後と低迷していて、4月の総選挙で与党が大敗。国会も野党が過半数も占め、国政運営がままならない状況となっていて、強権的手段で野党を抑え込むため非常手段に出たものとみられる。この事態に与野党ともユン大統領のこの手法を批判していて、国民の支持を得られるかは不透明。韓国の取引所はきょう、国内証券市場を開場するかどうかを午前7時半に決めるとしている。韓国の非常戒厳宣言について、米国・国務副長官は「深刻な懸念をもって注視している」と語ったほか「米韓同盟はゆるぎない」と強調した。