東京・丸の内にあるサンス・エ・サヴールの副料理長である貝沼はフランス料理の世界大会日本代表の座を掴んでいた。フランス・リヨンで開催されるボキューズ・ドール国際料理コンクールは世界各地の予選を勝ち抜いた新進気鋭の料理人とアシストするチームで競っていく。過去20回開催され、日本代表がメダルを掴んだのは2013年の3位のみであり、優勝することは日本フランス料理会の悲願である。3月、貝沼はフランスの伝統的な料理「スズキのパイ包み」を現代風にアレンジすることに挑戦していた。貝沼の料理をジョエル・ロブション総料理長の関谷、レストラン「HAJIME」オーナーシェフの米田が貝沼の料理をチェックし協力していた。酷評を得た貝沼は迷いが出てしまったと自己分析した。大会では課題となる食材が毎回異なり、指定された食材を制限時間5時間30分で調理し、大皿盛り・15人分の前菜・メイン・デザートを完成させる。昨年の審査員を務めた米田は、出場者は自費で練習し、仕事の合間にやるしかないが、海外は国が支援し、1年間練習に没頭できる環境にあり差が生じているなどと語った。