ゼレンスキー大統領は国際社会の結束を示してロシアへの圧力とするためグローバル・サウスの国々を招待したものの、グローバル・サウスの国々はロシアとの関係も重視していることで声明に盛り込まれたのは10の和平案のうち「原発の安全確保」「捕虜の解放と連れ去られた子どもの帰還」など3項目にとどまり、ウクライナが主張してきた「領土の回復」「ロシア軍の撤退」については触れられることもない形となった。それでもインド・サウジアラビア・タイなどの国が支持しない立場となった。インドやサウジアラビアなどはロシアなどとともにBRICSを構成していて、タイなどは西側諸国と権威主義国家との対立に巻き込まれることを避ける思惑があったと見られる。ゼレンスキー大統領はロシアをサミットに参加させなかったが、新興国からはロシアを参加させるべきとの声が上がっていた。これに対しロシアのプーチン大統領はサミットが開かれる前日の14日に一方的に東南部4州からウクライナ軍が撤退することやNATOへの加盟を断念する事を要求していた。ゼレンスキー大統領は次回の会議にはロシア側も呼ぶとしているが、ウクライナが描く和平への道筋に新興国から期待するような支持が得られないなど難しい状況となっている。