ロシアによる攻撃が続くウクライナの南部オデーサでオペラ音楽のコンサートが行われ、日本人の指揮者がタクトを振った。厳しい状況の中でも活動する、その思いを聞いた。オデーサの国立歌劇場で8日、オペラのコンサートが開かれた。指揮者はイタリアを拠点に活動する吉田裕史さん。2021年にこの歌劇場の首席客演指揮者に就任したが、翌年ロシア軍が侵攻を開始。以来オデーサに入ったのは去年の9月に続き2度目。ロシア軍によるインフラ施設への攻撃によって頻繁に停電が起き、終演後にはすぐに照明を落とさなければならない。ウクライナ人指揮者・イゴールチャルネツキさんは「非常に危険な状態が続いているが、公演の準備をしなければならない」と述べた。吉田さんはクラウドファンディングを立ち上げ、来年オーケストラのメンバー約80人を日本に招待するために資金集めを続けている。吉田さんは「(楽団員たちは)自分たちの音楽、伝統、芸術を日本の皆さんにも聞いてもらいたいと言っているので、それを何とか叶えてあげたい」と語った。戦いのさなかであっても音楽は必要とされている。音楽を届ける使命を果たすため、吉田さんは指揮を続ける。