大統領選挙が来週に迫っている中、大手新聞社の対応を巡っても波紋が広がっている。共同通信によると1877年に創刊した米国大手新聞社・ワシントンポストは、36年ぶりに特定の大統領候補の支持表明をやめた。BBCによると消息筋2人の話として論説室は今年もハリス支持の社説を準備していたものの、オーナーでアマゾンの創業者・ジェフベゾス氏の決定で掲載が見送られた。この判断に社内や購読者の一部から批判の声が相次ぎ、抗議のため職を辞す記者も出てきていると時事通信は伝えている。ロサンゼルスタイムズもハリス支持を表明予定だったが大富豪で知られるオーナー・パトリックスンシオン氏が反対したため見送られた。ワシントンポスト、ロサンゼルスタイムズともに少なくとも10数年前から民主党候補を支持してきたメディア。背景について米国メディアはもしトラの可能性を懸念したのが要因と指摘。AP通信はトランプ前大統領が長年自分を批判するメディアを「国民の敵」と呼び、最近そうした発言を再び繰り返している。一部の批評家はベゾス氏がトランプ前大統領を敵に回すことを避けたいと考えたのではないかと推測していると伝えている。現代米国政治外交が専門の上智大学・前嶋和弘教授は、この状況に危機感を募らせている。前嶋教授は「仮にトランプ前大統領を恐れて支持の表明を見送ったのであれば、米国の言論の自由が脅かされている」と指摘し、「自由の国での前代未聞の出来事であり米国で進む二極化の表れ」と話している。