ワシントン支局の高木支局長に聞く。トランプ氏はどんな思いでバイデン大統領との会談に臨んだのだろうか。4年前の選挙で敗北を認めないまま、ホワイトハウスを去ったトランプ氏にとってはまさに凱旋となり、その表情からは自信が伝わってきた。トランプ氏は前日までに実業家のイーロンマスク氏の起用をはじめとしたこれまでの常識を覆す政権人事を相次いで発表しており、今度こそワシントンの政治を根底から変えようという強い意志表示だと受け止められている。会談の直後には議会下院の選挙でも共和党が多数派となることが確実となり、大統領職と上下両院すべてを共和党が掌握するいわゆるトリプルレッドが実現することになった。さらにトランプ氏を起訴した議会乱入事件を担当している特別検察官が近く起訴を取り下げて辞任するとの報道も重なってトランプ劇場の第二幕の始まりを象徴するような一日となっている。一方で、トランプ氏を招待したバイデン大統領のねらいはどうだったのだろうか。4年前に自分を招かなかったトランプ氏をあえて招くことでみずからが考える民主主義の規範を示すとともに、これまで積み上げてきた成果を損なうことがないようにくぎを刺すねらいがあった。バイデン大統領はトランプ氏の働きかけによってウクライナでの戦闘がロシアに利する形で終結することを懸念しており、ウクライナへの支援継続の重要性を伝えたということ。バイデン氏はあす、APECなどの国際会議に出席するため南米に向けて出席する。ただそこでも各国の関心を集める影の主役はトランプ氏となりそう。