アメリカメディアはトランプ大統領の措置について、大きなリスクを負う政治的なギャンブルだなどと懸念を示している。今回の措置によって関税の負担の大半は消費者に転嫁されるとの見方が大勢。新車の販売価格に転嫁された場合、車種やモデルにもよるが平均的な車の価格が100万円程度上昇する可能性があるという試算も出ている。トランプ氏は「国内の自動車産業の雇用の拡大につながる」と訴えているが、自動車価格が上昇し消費者の購入意欲をそぐことになればアメリカの製造業の雇用には、かえってダメージを与えるとの声が上がっている。またアメリカではインフレによって多くの人が新車を購入する余裕がないという実態もあり、世論の反発を招く可能性も取り沙汰されている。反発の声はアメリカ国内だけではない。カナダのカーニー首相は報復措置の発動を検討する考えを示した。またEU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は「経済的な利益を守りながら交渉による解決策を模索し続ける」との声明を発表している。なぜトランプ氏は自動車関税の発表を急いだのか。トランプ氏としては今後の相互関税を巡る交渉で優位に立ちたいという考えもあるよう。トランプ氏にとっては自動車関税による各国の混乱や反発は狙いどおりの展開ともいえる。関税を交渉の道具としても位置付けるトランプ氏としては今後の相互関税の交渉で各国から有利な条件や譲歩を引き出す狙いもあるとみられる。またアメリカファーストを掲げるトランプ氏の通商政策において自動車産業の保護は一丁目一番地の政策といえる。アメリカの製造業のために戦っている人物というイメージを固めたい思惑もにじんでいる。一方でトランプ氏はここ数日、関税を回避したい貿易相手国との間で何らかの取引が成立する可能性も示唆。今後、更なる駆け引きがあるのか注目。カナダ・ターニー首相のコメント。