今、中小企業からの相談で増えているのが「賃上げ」について。従業員およそ100人、美術画材などを販売する都内の企業は去年、当時東京都の最低賃金だった時給1113円でアルバイトを募集しても集まらなかったため1250円に引き上げた。それにより人件費の負担が増えたため幹部の報酬を抑えることでなんとかやりくりをしている。そして中小企業と大手企業の間の賃金格差の拡大も懸念されている。従業員が30人以上の事業者は3か月連続でプラスになっているが、従業員5人以上の事業者は11月にようやくプラスに転じた。規模が小さいほど賃上げが難しいことをこれは示している。中小企業は利益の7割が人件費に充てられているため賃上げをするための余力がほとんどないことが分かる。こうした状況について三菱UFJリサーチ&コンサルティング・小林真一郎主席研究員は「賃上げ、金利上昇による債務負担、価格転嫁が中小企業の三重苦になっている」と指摘。その上で「中小企業にとっては商品にいかに“付加価値”をつけるかが重要だ。独自の製品には価格の交渉力があり、結果的に賃上げもできる。付加価値をつける経営ができるかどうかで中小企業の格差が広がるだろう」と話していた。
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