総本山金剛峯寺の奥之院では空海が今も祈りを捧げているとされ、参道には織田信長、豊臣秀吉といった著名な人物たちの墓がある。空海は生きながらにして仏になることができる「即身成仏」を説いたことで知られる。当時、都では天然痘などの疫病が蔓延し、飢饉も発生。それにもかかわらず、仏教は市井の人々に手を差し伸べることはほぼなく、主な役割は国家安泰を祈願し、天皇を守ることだった。そんな時に即身成仏を説き、現在の香川・まんのう町で堤防が決壊すると空海は改修工事を指揮した。中国での留学中に培った土木技術を発揮し、水の力を分散させるアーチ型の堤防は現代でも認められている。817年、高野山が開かれ、今も多くの僧が空海の教えを受け継いでいる。