安井明彦氏が2025年の世界経済を振り返った。第二次トランプ政権が1月にスタートし、世界各国からの輸入品に対する関税を引き上げた。WTOを舞台とした多国間での協議ではなく、国ごとの交渉を通じ、新たな関税率が決められていった。ただ、各国による交渉の末、関税率の水準は低くなった。関税の引き上げは、アメリカの物価を押し上げて、消費を冷え込ませると懸念されていた。実際には企業がコストを一時的に負担し、価格転嫁をゆっくりと進めた。加えて、AIに対する期待感から、投資が増加して経済成長を後押しした。関税が引き上げられたことで、アメリカの市場に依存しすぎないよう販路を見直したり、経済安全保障の観点から自国の産業育成に取り組む国も予想される。そのアメリカでは物価高への反発が強まり、食料品の関税を引き下げるなど対応に乗り出しているという。国民からは自由貿易協定による市場開拓を求める声も強まっているという。そして、安井氏は「今年の世界経済の追い風となったAIだが、世界の分断を深めかねないリスクも潜んでいる」などと語った。
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