中島さんのテーマは「進む 世界経済のデカップリング」で、中島さんは「世界の貿易と投資の制限敵措置数の推移を表したグラフを見ると2010年代の後半、特にトランプ氏がアメリカ大統領になってから米中摩擦が生じ2010年代後半から制限敵措置が増え始めて現在まで続いている。足元で言えばアメリカは中国の半導体企業にアメリカの先端技術のアクセスを制限する強化に乗り出していることもあるので、世界経済のグローバル化のデカップリングが進んでいる。世界経済においてのデカップリングの動きも見えてきた。中国は足元では引き揚げに転じている。背景には中国の低調な景気や不動産不況も影響している。日米、EUは互いの貿易も増え、大きくシェアを回復している。インド・メキシコ・ベトナムといった国々も中国に代替するかたちで輸出割合が増えている。世界経済の減速が輸出と直接投資の減少をもたらしているという面があるが、それでも昨年の1-9月期の世界輸出を見ると前年同期比で5.7%減っているし、直接投資は半減している。過去20年間では世界の輸出においては1%伸びるとそれに応じた世界経済は0.8%成長する関係が見て取れるし、世界の直接投資が1%増えると世界経済で0.5%成長する。デカップリングがさらに進展して輸出や直接投資が減ると世界経済がそれなりに下押しされることになる。今年の世界経済はIMF、OECD、世界銀行いずれも3%前後と少し弱めの数字になっている。ただいずれもデカップリングの影響を織り込んだ予測ではないので、デカップリングが増える状況があるので下振れる可能性があってもおかしくないと見ている。生産の国内回帰には限界があるので、グローバルサプライチェーンの組み換えが起きているので、そのような動きを行うことも大事。また新たな組み換え先としてはリスクが少ない国が増えれば好都合。例えば同じような経済的枠組みを共有しているTPPに先進国だけでなく新興国も加わることが増えていけばグローバルサプライチェーンの組み換えもしやすくなり、有益な資材になると思う。」などと述べた。