銀メダリストの坂本花織は、情感あふれる大人の演技を見せた。これが五輪のラストダンス。ショートプログラム前日、坂本は報道陣の前で「この頑張りが報われなかったらどうしようという不安が襲いかかっている」などと口にしていた。最後の1年と決めた今シーズンだったが、開幕戦でシニアデビューの17歳・中井亜美に優勝をさらわれた。さらにグランプリファイナルでも中井に敗れ3位となり、世代交代の重圧がのしかかった。盟友の樋口新葉は「ずっと怖かったと思う。いつか超されるかもしれないと思いながら戦ってきた」などと語った。代表選考を兼ねた去年12月の全日本選手権も重圧の中にいたが、5連覇を達成した。トップの座を守り抜き五輪の切符を掴み取った後は、いつも通りの明るさでムードメーカーであり続けた。団体を銀メダルに導いた坂本だったが、王者たちのミスを目の当たりにして表情は日を追うごとに固くなっていた。極限状態で迎えたショートプログラムだったが、1位につけた中井の得点は超えられず。フリーではジャンプにミスが出た。坂本を21年間指導する中野園子コーチは「頑張ったが、もう少し滑れた。点数ではなく、結局は神様がこれの方がいいんだろうと決められたこと。それを一緒に受け入れようと思う」などと語った。きょうのエキシビションでは重圧から解き放たれた坂本の姿があった。坂本は「コーチから、今後あなたがオリンピック金メダリストを育てなさいと言われた。教え子をメダルに導けるように、全力でサポートしていけたら」などとコメントした。
