中国で全人代と政治協商会議が団結や統制というメッセージを発して閉会した。1週間にわたり経済を中心に高官級会議が行われてきたが、その経済は2023年、近年では最も鈍い伸びを見せた。週末には閣僚らが雇用促進や低迷する不動産市場の安定化に向けてさらに行動をとることを約束した。11日に採決が行われた注目すべき議案が国務院組織法の改正案。99.4%と圧倒的多数で可決したが全人代に出席する代表者は造反することはまずないのでこれも驚きではない。今回の改正法により国務院は党の指導を忠実に守ることが求められ、職務は憲法に則って遂行しなければならない。国務院組織法が制定されたのは中国の憲法が現行のように改正されたのと同じ1982年で、これまで改正されたことは一度もない。今回の改正は中国における権力がさらに国家から党へと移ることを示していると専門家は見ている。これはこの数年見られてきた中国の傾向とも合致するもので、習近平国家主席が国家主席として3期目に入る中、さらに権力を自身に集中させることを表していると言えそう。国務院の役割がいわば縮小されることを意味しているが、今年の全人代などで見られたサプライズにもそれは現れている。通常は全人代も政治協商会議も毎年計画された通り実施されるものだが、今年は全人代開会前に首相の会見が今年を含め現政権中はずっと実施しないとの発表があった。これはこれまでの30年間の慣例を破ることを意味している。会見は事前に練られたものではあるが、報道陣にとっては直接中国政府に質問ができる数少ないチャンスだった。これまではこの会見で経済政策をはじめ中国と外国との関係など首相にあらゆる質問をしてきた。ときには予期しない事態が起こり、そこから報道関係者は政府や中国指導部のトップの内情を多少垣間見ることができた。しかしそういう場面が今年は欠けてしまった。習主席は就任以来慣例や伝統を変えることを恐れないという姿勢を見せてきた。それが今回中国のための政策を推し進めるとして縮小される国務院の役割にも現れている。